■いくらマヤのためとはいえ…肉を床に投げつけ、狼少女を演じさせる
また「忘れられた荒野」では、真澄はマヤに対し、大勢の人の前であまりに屈辱的な行動を取らせている。
その頃、マヤが狼少女・ジェーンを演じる舞台「忘れられた荒野」は、星歌劇団の大スター・円城寺まどかが主演を務める「イサドラ!」の影響を受け、話題性に欠けていた。
そこで真澄はマスコミの注目を集めるため、「イサドラ!」の舞台初日のパーティー会場にて、マヤにジェーンを実演するよう仕向ける。
彼は床に肉を投げつけてマヤを四つん這いで走らせ、さらには階段の上に肉を放り投げ、挑発。すっかり狼少女になりきっていたマヤは真澄の手に噛みつき、その迫力のある姿に居合わせたマスコミや演劇協会の関係者は息を呑むのであった。
この真澄の行動により「忘れられた荒野」の宣伝は大成功を収める。しかし、演技を終えたマヤからは「大っきらい!あなたなんて死んじゃえ!」と言われてしまう。さらに、恋のライバルである桜小路優がマヤにそっと寄り添う姿も見て、真澄は一人ショックを受けるのだった。
マヤの舞台を成功させるためには良い演出方法だったが、スカート姿のマヤに四つん這いで走る狼少女を演じさせたのは、あまりにも酷である。宣伝効果はあったものの、マヤを傷つけてしまったことに心が締め付けられる真澄。その後、マヤに噛まれた傷口にそっとキスをする彼の姿は、いろいろな意味で痛々しかった。
現在『ガラスの仮面』はコミックス49巻まで出版されており、真澄には鷹宮紫織というフィアンセがいる。しかし「紅天女」の試演を経て、マヤと真澄は気持ちが通じ始めているのも事実だ。
果たして、真澄の不器用すぎるマヤへの想いはこの先どうなっていくのだろうか。最新刊の発売から約13年が経過した今、多くのファンがその続きを待ち望んでいる。


