アムロ・レイは伊達じゃない! 『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』希代のニュータイプが魅せた「細かすぎる神業」の画像
Blu-ray『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(バンダイナムコフィルムワークス) (C)創通・サンライズ (C)創通・サンライズ・MBS

 1988年に公開された富野由悠季氏の監督・脚本による映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』は、テレビアニメ『機動戦士ガンダム』から14年後が舞台となっている。

 地球の引力に縛られ、いまだに統制と支配を続ける連邦政府に対し、新生ネオ・ジオンを率いる総帥シャア・アズナブルは地球を潰そうと蜂起する。こうしたシャア陣営の動きを察知したロンド・ベルに所属するアムロ・レイらが阻止に動くという構図で描かれた。

 第二次ネオ・ジオン抗争、もしくはシャアの反乱などと呼ばれるこの戦いでは、アムロとシャアによる最終決戦が繰り広げられる。

 サイコミュを導入し、オールレンジ攻撃を可能とする「フィン・ファンネル」を装備したνガンダムという最高の機体を手にしたアムロ。一年戦争時は子どもだった英雄は、29歳になった。

 ロンド・ベル隊での活動を経てパイロットとしても円熟味を増した稀代のニュータイプが、劇中の細かい場面で魅せた「驚異の職人技」の数々を振り返ってみたい。

※本記事には作品の内容を含みます。

■遠距離からの「最大出力射撃」でネオ・ジオンを翻弄 

 アムロが不在の中、ロンド・ベル隊がネオ・ジオンの猛攻にさらされる場面がある。ブライト・ノアが艦長を務める旗艦ラー・カイラムをギラ・ドーガの部隊が襲い、ケーラ・スゥらを中心に必死に応戦する。

 しかし、ネオ・ジオンのMS隊の隊長を務めるレズン・シュナイダーを中心に、ロンド・ベル隊を圧倒していく。このときジェガンに乗っていたアムロの部下ケーラも劣勢に追い込まれていた。

 月のアナハイム・エレクトロニクスでνガンダムを受け取っていたアムロは、遠方からその戦闘を確認する。この時点で戦いが繰り広げられるラー・カイラムの位置までは、まだ相当の距離があった。

 するとアムロは、νガンダムのビーム・ライフルを最大出力にして、おそらく射程外と思われる位置から発射。この一撃はレズンのギラ・ドーガとケーラのジェガンの間を割るように飛来し、ケーラの窮地を間一髪のところで救った。

 機影も見えない位置から飛んできた高威力のビームを目撃したレズンは、「なに? 援護の艦隊か」と、援軍に来た連邦艦隊の砲撃と勘違いする。

 特筆すべきは、このときのアムロの射撃の正確性だ。相手が感知できないほど遠距離から最大出力による狙撃を行いながら、アムロの初撃は的確にレズンのギラ・ドーガの位置を捉えていた。

 援軍艦隊の到来を誤認させるだけの意図なら、味方機に当たる危険を冒してまでギリギリを狙う必要はなかったはず。卓越したニュータイプ能力を誇るアムロであれば、おそらくケーラ機の危機的な状況や、その位置まで完全に把握した上での精密な狙撃だったと思われる。

 その後、アムロが放った第2撃、第3撃もきっちりギラ・ドーガに向かって飛来しており、あれだけ切迫した状況においてベストの選択を導き出したのは、まさに神業である。

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