■『リベンジgirl』が描く野心と成長のヒロイン・桐谷美玲
最後に紹介するのは、実際には総理にはならなかったものの、「女性総理を目指す」と宣言した異色のヒロインを描いた青春映画『リベンジgirl』(2017年)。本作は、失恋をきっかけに「日本初の女性総理になってやる!」と立ち上がる主人公・宝石美輝の奮闘を描いた物語だ。
桐谷美玲さんが演じたのは、東大首席でミスキャンパスのグランプリという才色兼備の女性・美輝。だが、自分を振った恋人が女遊びの激しい政治家一家の御曹司だったことから、「彼を見返してやる」と立候補を決意する。最初は高飛車で空回り気味だった彼女が、選挙活動を通じて人々と出会い、少しずつ変わっていく姿が描かれた。
そしてクライマックスの街頭演説では、彼女の誠実さを表すような純白のスーツを身にまとい、「嘘をつかない政治家になる」「周りの人の幸せを自分の幸せと思える政治家になる」と誓う。そして「総理大臣になってみせます!」と宣言する姿には、もはやかつての復讐心はなく、純粋な理想に向かう固い決意が宿っていた。
当時のインタビューで桐谷さんは、特に前半の高飛車な美輝について「理解しがたい部分も多々ありますね」と苦笑しつつ、「ただ、全編を通して観ると、真っすぐで自分に正直なキャラクターが魅力に思えてきます」と役柄への愛着を語っていた。
華やかさと誠実さを併せ持つ美輝の姿は、「女性総理」という夢をポップかつ等身大に描き出し、自分の弱さを受け入れ、そこから前に進む強さという普遍的なテーマを体現していた。
今回紹介した3人の女性たちは、それぞれの作品の中で、立場や時代背景の違いを越え、理想のリーダー像をそれぞれの形で体現していた。
いずれのキャラクターも、単なるフィクションの存在にとどまらず、現代社会における女性の生き方やリーダー像のヒントを示しているように感じる。
フィクションが先に描いた「女性総理」という未来像に、今、現実が追いつこうとしているのである。


