現実より一足先に誕生していた!? 『総理の夫』中谷美紀に『24 JAPAN』仲間由紀恵も…ドラマ・映画の「かっこよすぎた女性総理」の画像
中谷美紀  写真/ふたまん+編集部

 日本初の女性総理が誕生する。これまで想像にすぎなかった未来が、いまや確かな現実として目前に迫っているのだ。

 一方で、ドラマや映画といったフィクションの世界では、ずっと前から“その先の日本”が描かれてきた。物語の中の女性総理たちは、現実に先駆けて昇進の壁、いわゆるガラスの天井を突き破り、社会に希望と問いを投げかけてきた存在である。

 今回は、そうした作品で描かれた「女性総理」たちの姿を改めて振り返ってみたい。

 

※本記事には各作品の内容を含みます

 

■映画『総理の夫』で描かれた理想の女性総理像・中谷美紀

 2021年公開の映画『総理の夫』は、原田マハさんの小説を原作としたヒューマンドラマである。

 鳥類学者の相馬日和(田中圭さん)が10日間の出張から帰ると、妻がなんと日本初の女性総理になっていた。そんな衝撃的な幕開けから物語は動き出す。

 日本初の女性総理・相馬凛子を演じたのは中谷美紀さん。「未来をあきらめない」を信念に掲げ、冷静沈着で聡明、そして強い意志をもって国の舵取りを担う姿は、まさに理想のリーダーそのものだ。就任時の組閣記念撮影で見せた紫のドレスや、第二次内閣での黒のドレス姿。その気品と威厳を兼ね備えた佇まいは、国家を導く女性の象徴そのものだった。

 後のインタビューにて、中谷さんは撮影を振り返り「気持ち良かったですよ(笑)!」と冗談交じりに語りつつも、「その地位に自分が居るということより、これで社会が変わるんだと、女性の意見が社会に反映されることへの期待や希望が感じられたことがうれしくて」と、役を通して感じた喜びを明かしている。

 作中では、夫・日和が世間の注目や陰謀に巻き込まれる一方、凛子は動じることなく誠実に国政と向き合う。自身の進退がかかる総選挙の最中に妊娠が発覚し、つわりに苦しみながらも街頭に立つ姿は、まさに信念の人だった。

 「ただ前だけを見て、まっすぐにこの国の未来を一緒に変えていきましょう!」と訴えるスピーチは、現実を生きる私たちの胸をも熱くした。

■『24 JAPAN』に見る信念の女性リーダー・仲間由紀恵

 2020年放送のドラマ『24 JAPAN』は、世界的ヒット作『24 -TWENTY FOUR-』を、日本でリメイクした意欲作だ。舞台は、“日本初の女性総理誕生”が期待される総選挙当日の24時間。テロの脅威と家族の危機が同時進行する緊迫の一日が、リアルタイムで描き出された。

 仲間由紀恵さんが演じたのは、野党・民生党の党首にして総理候補の朝倉麗。清廉で誠実、信念に基づいた政治姿勢を貫く一方、2人の子を育てる母としての顔も持つ。冷静さと知性、そして人間味を兼ね備えたリーダー像は、仲間さん自身の持つ凛とした存在感と重なった。

 物語の中で、麗の一日はまさに波乱続きであった。演説中に命を狙われ、さらには家族がかかわる衝撃的な事件が発覚。政治家としての責任、妻としての葛藤、そして、母としての愛情。そのすべてを抱えながらも、彼女は決して信念を曲げることなく困難に立ち向かう。

 当時のインタビューで仲間さんは、「総理候補という役柄も最初はなかなか理解しがたい部分もありました」としながらも、「強い信念、そして家族への愛情もひっくるめて仕事が成り立っている様をしっかりと演じたい」とコメント。現代における女性リーダー像に、真摯に向き合ったことがうかがえる。

 そして終盤、党の勝利が確定し次期総理となるシーンでは、「この国の舵取りを託された私たちは、その責任を全うします!」と力強く拳を掲げた。その姿はまさに“女性総理誕生”の歴史的瞬間を象徴する光景だった。

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