■時代を超越した「圧巻の芸術性」

ファミコンの映像でも敵キャラ「リドリー」の不気味なクリーチャー感がしっかり伝わってくる ファミコン、ディスクシステム用ソフト『メトロイド』(任天堂)ゲーム画面 (C)1986 NINTENDO

 『メトロイド』のキャラクターやマップのデザイン、そして楽曲の素晴らしさは約40年も前に生まれた作品とは思えないクオリティに感じた。

 特に敵キャラクターである謎の生命体「メトロイド」独特の浮遊感や、マザーブレインにコントロールされている先住生物「リドリー」のクリーチャー感は、ファミコンの限られた表現力にもかかわらず秀逸。中でも「メトロイド」のプレイヤーにまとわりついてくるような挙動は、今プレイしても十分に気味が悪くスリリングだった。

 BGMに関しては、もはや語る必要もないほどの高い完成度を誇る。先述の通り、平成生まれの私が『メトロイド』を知ったのは、『大乱闘スマッシュブラザーズ』である。その時から印象的だったテーマ曲が、実際にファミコンのシンプルな音源で流れるのを聴いた時の感動が忘れられない。

■理不尽なまでの高難易度とクリア時の達成感

 難易度に関しては、現代のゲームの基準でいえば理不尽にも思えるほど、明らかに難しい。特にエネルギータンクが少ない序盤は一撃で死亡することも多く、同じエリアを何度も繰り返しプレイすることになった。本来セーブできる場所も限られていることもあって、ストレスを感じる場面は少なくない。

 エネルギータンクを複数取得して「これで余裕だろう」と思った矢先に、リドリーの異常な硬さや、メトロイドの強烈な持続ダメージによって窮地に陥った。そのため、結局最後まで緊張感が途切れることはなかった。

 この予測不可能な難易度のバランスこそが、「さすがメトロイドヴァニアというジャンルを確立した作品だ」と感じさせられた部分である。困難を乗り越えた時の爽快感や達成感は格別だった。そして母艦を脱出するラストシーンで最大の盛り上がりを見せ、この得も言われぬ感覚こそが、多くのプレイヤーをとりこにしてきた要因なのだろう。

■現代にまで及ぶ「大きな影響力」

不気味なマップを見事に表現 ファミコン、ディスクシステム用ソフト『メトロイド』(任天堂) (C)1986 NINTENDO

 初代『メトロイド』をプレイして改めて実感したのは、このゲームが現代のメトロイドヴァニアというジャンルに与えた影響の大きさだ。能力獲得による探索範囲の拡大、複雑なマップ構造、雰囲気重視の世界観など、現代では当たり前になって普及している要素の多くがここに詰まっている。

 私が慣れ親しんでいる『ホロウナイト』シリーズをはじめ、現代の名作と呼ばれる作品の多くが、この初代『メトロイド』の遺伝子を確実に受け継いでいると実感できた。

 ひとつのジャンルの原点として、これほど完成度の高い作品を1986年に生み出したことは、ゲーム史に残る偉業といえるだろう。


 ファミコンというゲームハードによる技術的制約や、時代ならではの不便さはあるものの、ファミコンの『メトロイド』は間違いなく傑作だと感じた。現代のメトロイドヴァニアに慣れ親しんだプレイヤーにとっても、十分にプレイする価値のある作品だと断言できる。

 特にジャンルのルーツを知りたい人、ゲーム史に興味がある人にはプレイすることを強く推奨したい。さまざまな不便さも含めて当時のゲームを味わうことで、現代のゲームの進化をより深く理解できるはずだ。

 40年近く前の作品でありながら、自分のような平成生まれのプレイヤーにも満足感をもたらしてくれた『メトロイド』。これから初めて触れる人にも、きっと新鮮な驚きと発見を与えてくれることだろう。

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