仮面ライダーに登場した「にせライダー」たちのせつない末路 昭和名物「偽物ヒーロー」はいかに戦ったのかの画像
『仮面ライダー』Blu-ray BOX 1(東映ビデオ)(C)石森プロ・東映

 1971年の第1作放送開始以来、50年以上もの長きにわたり、人々に愛され続けている「仮面ライダー」シリーズ。劇中では幾人もの仮面ライダーが人間の自由と平和のために戦いを繰り広げてきたが、同時に悪もまた栄えてきたという事実を忘れてはならない。

 中には仮面ライダーの名を語り暗躍した極悪非道な怪人たちも存在した。今回は、そんな「仮面ライダー」シリーズに登場した5体の“にせライダー”の所業を振り返る。

■初の“にせライダー”『仮面ライダーV3』シーラカンスキッド

 『仮面ライダーV3』(1973年)の前作『仮面ライダー』(1971年)には、ライダー1号・2号と同じ容姿やスペックを持つショッカーライダーなる者が登場する。だが、ショッカーライダー自体がオリジナルの存在だという解釈から、厳密には“にせライダー”とは異なるという認識が一般的だ。

 そのため、視聴者の前に初めて姿を現したニセライダーは、『仮面ライダーV3』第47話「待ち伏せ!デストロン首領」に登場したデストロンライダーマンとなる。つまり“にせライダーマン”だ。

 秘密結社デストロンのヨロイ元帥が指揮する「東京都皆殺し作戦」の一環として、V3に巧みに近づくデストロンライダーマン。その正体は、改造人間シーラカンスキッドだった。デストロンの目的、それは、すべての罪を裏切り者であるライダーマン=結城丈二に擦り付けること。結城丈二と顔も声もソックリに変身したシーラカンスキッドに、V3もまんまと騙されてしまう。

 V3こと風見志郎は崖から突き落とされ、少年ライダー隊の本部は爆破寸前、本物のライダーマンは、ヨロイ元帥の罠にかかり捕らえられてしまっている……。しかし、仮面ライダーV3がそんな簡単にやられるはずもなく、その力を侮ったシーラカンスキッドは正体をいとも簡単に見破られてしまう。デストロンの野望は打ち砕かれ、最後はV3のきりもみキックによって爆散した。

 なお、シーラカンスキッドが化けているはずのデストロンライダーマンであるが、V3を騙そうとした際に、デストロンライダーマンとシーラカンスキッドの双方が同じ場面に登場しているシーンがあった。こういったところは何とも昭和らしい瞬間である。

■能力は本物に遠く及ばず…『仮面ライダーX』カメレオンファントマ

 『仮面ライダーX』(1974年)第29話「死闘!!Xライダー対Xライダー!!」では、秘密結社GOD機関の改造人間カメレオンファントマが、“にせXライダー”へと変貌を遂げる。環境に合わせて擬態するカメレオンと、顔のない変幻自在の化身と言われたファントマを掛け合わせるというGOD怪人の中でも、抜群のアイデアであった。

 カメレオンファントマ配下の戦闘員たちも姿を変えることができ、Xライダーを翻弄。しかしながら、どうにも頭のほうが少し弱かった。Xライダーの協力者である立花藤兵衛に化けて、GOD機関が探し求めている設計図を奪う作戦を実行するが、まんまと藤兵衛に一枚食わされ、大幹部キングダークからお叱りを受けてしまう。

 自棄になったカメレオンファントマは、その能力を使うことなく、Xライダーをおびき出す作戦を敢行。戦いの最中に、最終手段としてXライダーに化ける。本物のXライダーよりも若干スーツが青いぐらいで、本物との見分けはつきにくいが、能力に関しては本物に遠く及ばず……。最後はXライダーの真空地獄車によって倒された。

 たった一人で戦いに挑むXライダーを相手に、はたしてにせXライダーになったところで何の意味があったのか……。最後の最後まで間抜けな怪人であった。

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