■意外と少ない吾郎との黄金バッテリー
「茂野吾郎の最高のパートナー」というテーマで寿也を掘り下げてきたが、本作を読み返してみると、2人がバッテリーを組んだ期間は決して長くないことに気づかされる。
「リトルリーグ編」では吾郎が三船リトル、寿也は横浜リトルのメンバーで、ライバルとして熱戦を繰り広げた。中学時代も互いに別のチームで対戦している。
一緒に海堂学園高校に入ってからはしばらくチームメイトだったが、2年の夏に吾郎は聖秀学院高校に編入し、3年夏には地方大会で敵として相まみえた。このように2人は敵味方に分かれていた時期が結構あるのだ。
吾郎と敵対している時期の寿也は冷徹な雰囲気をまとっていることが多く、一部の読者からは「闇落ち」なんて評されることもあった。
プロ入り後は「W杯編」で日本代表として一時的にバッテリーを組み、数年後の「ワールドシリーズ編」で寿也が吾郎のいるホーネッツに移籍し、ついにファン待望の黄金バッテリーが完全復活した。寿也の「一度でいいから(吾郎と)同じユニフォームで優勝してみたい」というセリフに感慨深さを感じた読者は多いはずだ。
このように、寿也が吾郎とバッテリーを組んだ期間は、ファンのイメージよりも遙かに短い。だが、この2人がすごいのは、どんなにブランクがあっても一度組めば即座に最高のパートナーになれるところだろう。
佐藤寿也の野球人生は、まさにドラマに満ちている。『MAJOR』という作品でなければ、彼自身が主人公になっていたとしても不思議ではない。
そんな男が吾郎の相棒として活躍するからこそ面白く、2人の最強バッテリーに読者はワクワクする。寿也は吾郎だけでなく、『MAJOR』という漫画そのものを支えているのかもしれない。


