
2025年9月30日、人気声優として長年に渡って活躍している石川界人さんと内田真礼さんの結婚が発表された。声優同士の夫婦誕生に、声優業界はもちろんアニメファンのあいだでも大いに盛り上がっている。
二人の初共演は2008年から『デザート』(講談社)で掲載されていた葉月かなえ氏原作の『好きっていいなよ。』だ。同作のアニメは今から13年前の2012年に放送され、当時の二人が演じたのは脇役と名もなき学生役だった。
それから演技力と表現力を磨き、多くのキャラクターの魅力を引き出してきた二人は、互いがメインキャラを務める作品でも共演。結婚することになった二人ががっつり共演した2025年夏アニメの3作品から、それぞれが演じたキャラクターの関係性や絡みを振り返ってみたい。
※本記事には作品の内容を含みます。
■『盾の勇者の成り上がり』
『盾の勇者の成り上がり』は小説投稿サイト『小説家になろう』で、2012年から連載されているアネコユサギ氏による大人気ライトノベル作品だ。そのアニメは第1期が2019年、そして最新シーズンの第4期が2025年夏に放送された。
同作は、石川界人さんが演じるオタク大学生の岩谷尚文が異世界に召喚されて、「盾の勇者」として災厄の波から世界を守る冒険物語である。内田さんが演じるのは、メルロマルクという国の王位継承権第一位の王女メルティ=メルロマルクだ。
二人の関係は最悪のスタートで、自分を陥れた王族の一員ということで尚文はメルティのことも敵対視していた。しかし、暗殺されそうになったメルティを尚文が救い、苦難の旅を共にしながら一緒に戦っていくうちに信頼関係を築いていく。
尚文に名前を呼んでほしいと懇願するなど、メルティは彼のことを異性として意識しているが、朴念仁の勇者は気づいていないだろう。そのため気の置けない兄と妹のような関係性となっているが、盾の勇者と王族というそれぞれの立場から、世界や人民を守ろうとする両者の想いは共通するところだ。
■『青春ブタ野郎』シリーズ
『青春ブタ野郎』シリーズは、KADOKAWAの電撃文庫から刊行されている鴨志田一氏によるライトノベルだ。2018年に、同作を原作とするアニメの第1期『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』が放送。2025年夏には、テレビアニメ最新作『青春ブタ野郎はサンタクロースの夢を見ない』が放送されたばかりだ。
物語の鍵となるのが、多感で不安定な時期の少年少女に起こるオカルト的な現象「思春期症候群」。この思春期症候群で家族が崩壊した梓川咲太の声を石川界人さんが演じ、同じように苦しむ家族や友人を助けながら成長していくストーリーとなっている。
内田さんが演じるのは、アイドル活動をしている豊浜のどかだ。咲太の恋人で女優の桜島麻衣とは母親違いの妹で、姉への憧れとコンプレックスから思春期症候群によって彼女と体が入れ替わってしまう。
のどかにとって咲太は、大好きな姉の彼氏として突如現れた「死んだ目の男」だった。しかし、複雑な家庭事情や麻衣への気持ちに苦悩していた彼女をサポートし、姉妹のわだかまりを解いたのが咲太だった。
彼の優しさに触れて、のどかは「なんかちょっとだけ分かった気がする。何でお姉ちゃんが咲太を選んだのか」 と姉の彼氏として認める発言をしている。
作中では麻衣にベタ惚れの咲太だが、リアルでは妹ののどか(役の声優)と結婚したとファンのあいだで話題になった。ただ、石川・内田夫妻は姉さん女房になるため、二人の関係性としては咲太と姉の麻衣のほうに近いのかもしれない。