■宇宙で一番やっかいでめんどうな所「亡霊トンネル」
次は、メーテルが“宇宙で一番やっかいでめんどうな所”と評した「亡霊トンネル」のエピソードを紹介したい。
物凄い轟音とともに、音を吸収しない長いトンネルに入り込み、止まってしまった999号。やがて金属の球体の集団に閉じ込められ、身動きが取れなくなる。
すると暗闇からイローゼという女性が現れ、鉄郎を我が家に来るようしつこく誘ってくる。断ると球体で999号を押しつぶそうとするため、彼は仕方なくイローゼの家へと向かう。しかし、そこでさまざまな嫌がらせを受けた鉄郎はついに激怒し、彼女の体を破壊して999号を球体から脱出させるのであった。
実はイローゼの正体は、自身のアンドロイドを造った人の亡霊であった。その人物は生前、人の嫌がることばかりをして迷惑をかけ続け、最終的に人々に嫌われて自殺したのである。
メーテルによると、鉄郎に破壊されたイローゼはまた自分を修復し、永遠に同じことを繰り返すという。歪んだ心を残した挙げ句、訪れる人に対して意地悪なことを繰り返す「亡霊トンネル」。そこは間違いなく宇宙で一番やっかいで、めんどうな場所と言えるだろう。
■太陽系の中で一番美しく一番こわい星「タイタンの眠れる戦士」
最後は、土星の衛星・タイタンを舞台にしたエピソード「タイタンの眠れる戦士」のエピソードを紹介したい。メーテルはこの星を「太陽系の中で一番美しい所……そして一番こわい所……」と説明している。
タイタンに到着した鉄郎が見たものは、美しい花が咲く楽園のような光景であった。ここは土星の熱でいつも春のように温かく、化学も発展している美しい星だった。
しかし、「一番こわい所」と紹介されているように、ここでは突然人が殺されたり、誘拐されたりしても、「楽国法」という恐ろしい法律があって警察が介入することはない。
鉄郎はこの星で謎の老婆と出会い、のちに鉄郎のトレードマークとなるつばのついた大きな帽子と、宇宙戦士の銃・コスモガンを譲り受けている。全体的に美しさよりも恐ろしさが勝る星だったが、鉄郎に銃を与えてくれた老婆の美しい心に救われるエピソードだった。
『銀河鉄道999』には、この他にも“子どもの心をよく知っている星”として母なる生命体が登場する「透明海のアルテミス」や、“宇宙で一番気持ちがよくて住みやすい所”として、亡きペットたちが集う「ミーくんの命の館」といったエピソードも登場する。
いずれの星も地球には存在しない特異な場所であり、一度足を踏み入れれば、良くも悪くも強烈な体験が待ち受けている。果てしなく広がる宇宙のどこかには、我々の想像を超えた「宇宙一」を名乗る星が存在しているのかもしれない。


