今やエンターテインメントという枠組みを超え、文化として位置づけられている日本の「漫画」は、国内ではもちろん、世界中で「Manga」として愛されている。海外で人気漫画が話題になったり、オタク文化が発展したりといった話を、ニュースなどで見聞きした覚えがある人も多いだろう。
しかし、漫画が他国でどのくらい浸透しているのか、そのリアルな実情を日本で暮らす我々が知ることはなかなか難しい。そこで先日、ドイツとフランスを訪れる機会があった筆者は、観光の合間に現地の書店などを覗いてみることにした。
そこには、想像をはるかに超える“リアルな実情”が待っていた……。
■大型書店なら日本に負けない品揃え!?
まず紹介したいのは、ドイツ南西部に位置する街・フライブルクで訪れた大型書店「Bookstore Rombach GmbH」。フライブルクはいわゆる「大学都市」であり、学生が多い街としても知られている。その中心部にあるこちらのお店は4階建てと広めで、充実した品揃えで知られており多くの人で賑わっていた。
漫画のコーナーは2階に設けられていたのだが……実際に行ってみるとビックリ! この写真におさまっているのが、ほぼすべて日本の漫画エリアである(左端に少しだけカートゥーンの棚が写っている)。
ラインナップをじっくり見てみると、鳥山明さんの『ドラゴンボール』や尾田栄一郎さんの『ONE PIECE』、吾峠呼世晴さんの『鬼滅の刃』といった超有名作品はもちろん、アニメが海外でも反響を呼んだ『葬送のフリーレン』(原作:山田鐘人さん、作画:アベツカサさん)、『薬屋のひとりごと』(原作:日向夏さん、作画:ねこクラゲさん)も並んでいた。
そのほか、福田晋一さんの『その着せ替え人形は恋をする』や九井諒子さんの『ダンジョン飯』、村田真優さんの『ハニーレモンソーダ』、師走ゆきさんの『多聞くん今どっち!?』、鍵空とみやきさんの『ハッピーシュガーライフ』など、幅広いジャンルの作品が揃っていた。
個人的には、今夏アニメ化された『光が死んだ夏』がかなり推されている印象を受けた。ジャパニーズホラーな雰囲気も人気を後押ししているのだろうか。
ほかにも、金沢真之介さんの『会社と私生活-オンとオフ-』、森川侑さんの『休日のわるものさん』といったSNS発の漫画も見られたのが意外だった。要するに、日本で話題になった作品なら大体買える、といっても過言ではないかもしれない。
漫画だけでなくちょっとしたグッズコーナーもあり、フィギュアやマグカップ、クッションなどが売られていた。ちなみに街を歩いていると、亀TシャツなどのアニメTシャツを着ている人を見かけることも多く、体感では日本よりその頻度が高いような気がした……。
また、日本の書店では漫画はシュリンク(ビニール包装)されているのが普通だが、今回筆者が訪れた書店ではいずれもそれがなかった。そのため、じっくり立ち読みしているお客さんもちらほら。カゴを足元に置き、吟味しながら大量の漫画を購入している人もいて、なんだか嬉しい気持ちになった。
■観光地のど真ん中に漫画専門店が!?
フランス・ストラスブールを訪れた際には、「Le Camphrier」というお店を覗いてみた。こちらは日本文化、とりわけ漫画に特化した専門店なのだが、なんと旧市街の中心「クレベール広場」にある。
ストラスブール旧市街はまるごと世界遺産に登録されているような美しい場所。まさかそのど真ん中で、日本で見慣れた漫画がディスプレイされているお店を見つけるとは思わなかった。観光中、突然視界に飛び込んできたので度肝を抜かれて思わず入店してしまった次第だ。
このお店は1階と地下1階の2フロアあり、1階にはガイドブックや日本文化の本、小説なども置かれていたが、地下のほうは完全に漫画で埋め尽くされている。下に降りていくための階段にはパネルやうずまきナルトの等身大フィギュア(!)が飾られており、思わずワクワクしてしまった。
専門店であるこの書店は、品揃えがかなり豊富。また、先に紹介したフライブルクのお店と比べ、大まかなジャンル分けがされているので作品を探しやすい。「SHONEN&SEINEN(少年&青年)」や「SYOUJO(少女)」と日本語そのままのジャンル名が目に飛び込んできたのには驚かされた。
こちらでは、『ドラゴンボール』や『ONE PIECE』は専用の棚があるし、ナガノさんの『ちいかわ』やアンギャマンさんの『ラーメン赤猫』が置かれているのも発見。暁なつめさんの『この素晴らしい世界に祝福を!』や大森藤ノさんの『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』といったライトノベルも揃っており、「オタク」に嬉しいお店といえるだろう。
品揃えの良さにくわえ立地が良いのもあってか、お客さんがひっきりなしに訪れていたこちらのお店。常連客らしき人が店員と仲良く話している場面にも出くわし、コアなファンに愛されている印象を受けた。
また、ここからホテルへ戻る途中、「モノプリ(Monoprix)」というフランスの大手スーパーに立ち寄ったのだが、生活用品エリアの片隅に「MANGA」のラックが置かれていて二度見してしまった。


