伝説の旧型機が輝いた『ガンダムUC』初代アニメ未登場機が「主役になった瞬間」 ザクIスナイパー、ゾゴック、ジュアッグ…の画像
「HGUC 1/144 ゾゴック(ユニコーンVer.)」(BANDAI SPIRITS) (C)創通・サンライズ

 テレビアニメ『機動戦士ガンダム』は、宇宙世紀0079年に始まった「一年戦争」と呼ばれる戦争を舞台に描かれた作品。同戦争は、開始から約1年後の0080年1月に終結した。

 その後、さまざまな続編作品が放映されたが、OVA『機動戦士ガンダムUC』は一年戦争から約16年後となる0096年が舞台となっている。その間には『機動戦士Zガンダム』『機動戦士ガンダムZZ』『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』などの作品を経ており、作中に登場するモビルスーツなども時代の移り変わりとともに進化してきた。

 しかし、『ガンダムUC』には一年戦争当時の機体が多数登場している。それも単なる時代遅れのやられ役としてではなく、現行の機体と渡り合うシーンが描かれているのだ。

 中には、初代『機動戦士ガンダム』に未登場で、設定のみ存在する機体も含まれており、そのマニアックさも相まって往年のガンダムファンを歓喜させた。

 そこで今回は初代『ガンダム』のアニメには登場せず、『ガンダムUC』でまさかの活躍を見せた印象的な旧型機を振り返ってみたい。

※本記事には作品の内容を含みます。

■「始祖的MS」の時代を超えた大立ち回り

 『ガンダムUC』を視聴して驚きだったのが、宇宙世紀0096年に「ザクI」が現役で稼働していた点だ。ザクIは「旧ザク」とも呼ばれ、一年戦争時には後継機である「ザクII」が量産されたため、一部の補給任務以外にほとんど出番がなかった旧型機である。

 そのザクIにビーム兵器である「ビームスナイパーライフル」を装備させたのが、「ザクI・スナイパータイプ」だ。当然、ザクIの貧弱なジェネレーターではビーム兵器を稼働させることはできず、外付けのサブジェネレーターを背負うことで主に狙撃用途に用いられた。

 『ガンダムUC』では、そんなザクI・スナイパータイプの活躍が映像化された。ジオン残党軍の隊長機として空中輸送機に固定され、連邦軍の基地に対する攻撃に参加。上空から戦闘機や対空火力を有するモビルスーツを狙撃することで、自身が落とされるリスクを下げつつ仲間を援護した。

 ザクIによる的確な狙撃は、単独で飛行能力を持つ連邦軍のカスタム機バイアラン・カスタムをも襲う。高高度からバイアランの背部スラスターを撃ち抜き、墜落させた。

 あの“旧ザク”の派生機が、時代を超越して活躍する姿に感動したガンダムファンは多いのではないだろうか。

■ジオン水泳部の変わり種が映像化

 一年戦争時に開発されたジオン軍のモビルスーツの中でも、そのシュールな見た目から不思議な人気を誇る水陸両用機たちがいる。その代表格が、『機動戦士ガンダム』には登場しなかった「ゾゴック」だ。

 ゾゴックの開発コンセプトは、「連邦軍ジャブロー基地に侵攻したあと、洞窟内の戦闘が想定されるため格闘戦に特化する」というもの。そのためビーム砲などは一切装備しておらず、頭部に「ブーメラン・カッター」や腹部にも「ワイド・カッター」という投てき&格闘武器を装備している。

 そしてゾゴック最大の特徴ともいえる武装が「アーム・パンチ」だ。ゾゴックの腕部は伸縮機構を備え、伸びるパンチを繰り出すというもの。その威力はすさまじく、モビルスーツの装甲を余裕で貫通するほどである。

 ガンプラ「HGUC 1/144 ゾゴック」の解説書によれば、アームパンチで腕部は20mほども伸びたとされる資料が存在するとのこと。ちなみに腕部の貫通力を上げるため、ゾゴックの指は四角くカットされている。

 設定を聞くだけでも屈指のおもしろメカであるゾゴックが、ついに『ガンダムUC』にて初めて実戦投入される場面が描かれた。

 劇中ではジオン残党の仲間たちとともに連邦の湾岸基地を急襲。基地の防衛に出動してきたジムIIと交戦する。鮮やかな動きでゾゴックが繰り出したヒート・ソードはジムIIの胸部を貫き、さらにシュツルム・ファウストを放って、もう1機のジムまで無効化する。

 その後現れたバイアラン・カスタムに対しても、片腕を失いつつ奮闘。頭部のブーメラン・カッターを放ったものの防がれてしまい、ヒート・ソードを仲間に託してお役御免となった。

 どうせなら得意のアームパンチがさく裂するシーンも少しでいいので見てみたいと思ったのは筆者だけだろうか。

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