え、ギャグじゃない!? 『銀魂』ファンがざわついた「涙腺崩壊必至のシリアス回」ミツバ篇に吉原炎上篇、一国傾城篇も…の画像
Blu-ray『銀魂 THE FINAL』(完全生産限定版)(アニプレックス)(C)空知英秋/集英社・テレビ東京・電通・BNP (C)空知英秋/集英社・テレビ東京・電通・BNP・アニプレックス (C)空知英秋/劇場版銀魂製作委員会

 『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載された、空知英秋氏のSF時代劇コメディ漫画『銀魂』。

 漫画連載開始20周年を迎えた2023年から、アニメ放送開始20年を迎える2026年までを「銀魂20周年イヤー」と銘打つなど、なんともユニークな盛り上げ方で今もなおファンを楽しませてくれている。

 そんな『銀魂』といえばコメディ作品の印象が強いが、実はシリアスで泣けるストーリーも多くのファンを惹きつける要因となっている。そこで、普段の作風とのギャップから「あれ、これって本当に『銀魂』!?」とファンを驚かせた、珠玉のシリアス回を3つ紹介したい。

 

※本記事には作品の内容を含みます

 

■「辛ェ」…切なすぎる「ミツバ篇」

 まず『銀魂』のシリアス回を語る上で、外すことができないのが「ミツバ篇」だろう。アニメでは第86話・87話で語られた、真選組一番隊隊長・沖田総悟の姉、ミツバに関するストーリーだ。

 真選組を率いる近藤勲と土方十四郎、そして沖田の3人は、同じ田舎町の出身である。近藤の実家が営む剣術道場で、共に剣の腕を磨いていた。すぐに喧嘩する土方と沖田、それを仲裁してとばっちりを食らう近藤。今と変わらず騒がしい3人のそばには、その光景を見ながら微笑む女性の姿があった。それが、沖田の姉、ミツバだ。

 両親を早くに亡くし、沖田を1人で育てていたミツバだったが、肺を患っていた。3人が立派な侍になる夢を追い、田舎を去るときも、病のためについていくことはできなかった。そんなミツバが、嫁入りを機に江戸へとやってくる。

 ミツバの結婚を喜ぶ近藤と沖田。しかし土方は、どこかミツバを避けようとする。実は、ミツバはかつて土方に想いを寄せており、土方もミツバを好いていた。しかし、生死をかけた戦いに身を投じる自分では彼女を幸せにはできない。そう考えた土方は、ミツバの想いを受けとめられずにいたのだ。再会の喜びも束の間、ミツバは病状が悪化し、倒れてしまう……。

 一方で、ミツバの結婚相手である貿易商・蔵場当馬には黒い噂があった。真選組の捜査により、彼が攘夷志士と繋がり、ミツバとの結婚も真選組という後ろ盾を得るためだったことが判明する。姉のささやかな幸せを望む沖田だったが、真実を知って単身で乗り込んだ土方を追い、最後は2人の力で蔵場を打ち倒す。

 病室で、“あなたたちのようなステキな人たちと出会えてとっても幸せだった”、“あなたは自慢の弟よ”と話す姉を看取る沖田。

 そして、ひとり病院の屋上でミツバが好きだった激辛せんべいを食べながら、土方は涙を流す。その後ろ姿を見ながら、主人公・坂田銀時も「辛ェ」と呟き、このエピソードは幕を閉じるのだった。

 「まさか『銀魂』で泣かされるとは思わなかった」という人も多いであろう、本作屈指の感動的なエピソードだ。

■あれ? バトル漫画だっけ?「吉原炎上篇」

 『銀魂』の長編シリーズは、ストーリーの核となるものが多く、シリアスな展開が多い。次に紹介する「吉原炎上篇」もその1つだ。

 「吉原炎上篇」はアニメ第139話から146話で描かれた、吉原を支配する夜王・鳳仙との戦いを描いた長編シリーズだ。ぽっと出の人気キャラクターとして、他キャラクターから嫉妬される死神太夫こと月詠が初登場したシリーズでもある。

 吉原を力と恐怖で支配する鳳仙は、かつて宇宙最強の戦闘民族・夜兎族の頂点に立った男だった。彼は吉原の花魁・日輪に並々ならぬ執着を見せ、彼女を吉原の地下に監禁する。鳳仙は決して屈することのない日輪と、夜兎族の天敵である太陽の面影を重ねていた。

 一方、吉原で生まれ育った少年・晴太は、日輪が自分の母であると信じ、彼女に会うためにスリで金を稼ぐ日々を送っていた。そんなある日、晴太は中身が全く入っていない、銀時の財布をスってしまう。

 晴太の身の上話を聞いた万事屋一行は、晴太を日輪に会わせることを決意する。日輪に恩がある月詠の力を借りながら、強大な吉原の戦力を相手に奮戦。しかし銀時は、鳳仙の圧倒的な力の前に倒れてしまう。

 だが、神楽と新八、そして晴太の尽力により、吉原を覆っていた大きな天井が開く。太陽の元に投げ出された鳳仙の肉体は、日輪に優しく見守られながら朽ちていった。

 神楽の兄・神威の登場や、『銀魂』とは思えないほど激しくシリアスなバトルシーンの連続。ストーリーが大きく動き出しそうな予感に、ワクワクしたファンも多かっただろう。

  1. 1
  2. 2
  3. 3