
『週刊少年ジャンプ』(集英社)で1988年から連載されている冨樫義博氏の『HUNTER×HUNTER』。念能力による予想を超える戦闘が魅力のひとつであり、バトル漫画でファンが盛り上がる鉄板ネタといえば、最強キャラクターが誰であるかだろう。
これについては心源流の師範であり、主人公のゴンやキルアの師匠でもあるビスケット=クルーガーが、「グリードアイランド編」で気になる発言をしていた。彼女によれば二ツ星(ダブル)ハンターの称号を持つジン=フリークスが、念能力者としてトップ5に入る実力を持っているということだ。
これはハンター協会会長であるアイザック=ネテロからの情報である。人類最強クラスの実力者であるネテロ視点が思う念能力者トップ5が誰だったのか、ファンにとっても興味深いところだろう。
そこで作中での発言や「冨樫義博展 -PUZZLE- 公式図録」で公開された裏設定などを参考に、ネテロのいう「世界の5本指に入る念能力者」はいったい誰なのかを考察していきたい。
※本記事には作品の内容を含みます。
■修練度「極」に属する6人の念能力者
「冨樫義博展 -PUZZLE- 公式図録」では、“冨樫メモ”に基づいて制作された「念能力」の設定資料が公開されている。そこには修練度と呼ばれる、原作ストーリーでは触れられていない念能力の裏設定が記されていた。
この修練度とは、その名の通り強化系・変化系・具現化系・操作系・放出系・特質系、それぞれの系統をどの程度極めているのかを表すものだ。修練度が高い順に「極」「天賦」「秀」「優」の4段階が存在していた。
「極」は習得できる技術の最高到達点に達していることを示し、念能力者として実力が高いと判断してよいだろう。「念能力」設定資料に書かれていた「極」に達しているキャラクターは、ネテロとビスケを含めて6名いる。
キメラ=アントの王メルエム、「グリードアイランド編」で登場した除念師アベンガネ、ネテロと古くから付き合いがあるゼノ=ゾルディック、その孫であるアルカ=ゾルディックたちである。
ここで念能力者トップ5の基準を明確にしておこう。当然ネテロが知っている念能力者であることが前提であり、その判断基準も彼の価値観によるところが大きいはずだ。
つまり「ワシの求める『強さ』には相手が必要だった 言うなれば勝ち負けのある個としての『強さ』じゃな」という彼の発言が軸となる。この言葉から1対1で戦ったときの強さは必須だと考えられ、タイマンでの戦闘力の高さを絶対的な基準として候補者を絞っていきたい。
■修練度「極」から除外される人物と「天賦」の候補者
敵にかけられた念能力を取り除く「除念」を得意とするアベンガネは、戦闘向きではないため候補から外してよいだろう。
また「おねだり」と「お願い」によって、人知を超えた力を発揮するアルカも同様である。チート級の能力ではあるが、「会長選挙編」を見るかぎりアルカの身体能力は低そうだ。
ビスケがネテロからジンの評価を聞いたとき、まだ生まれていないメルエムも候補には入らない。
判断が難しいのは「ワシが念使いで最強だったのは半世紀以上も昔の話じゃよ」と自己評価しているネテロ本人だ。メルエムに負けはしたものの、蟻の王とのタイマン勝負で見せた実力は作中でもトップクラスである。
しかし、ネテロはゼノの祖父にあたるマハ=ゾルディックと同い年であり、全盛期と比べると確実に衰えているのだろう。本人の発言からも、現在全盛期を迎えている念能力者には追い抜かれていると考えていそうだ。
それらを踏まえると「極」に属する念能力者の中で、ネテロが思う世界トップ5に入りそうな候補者はビスケとゼノとなる。ここにジンも加わるので、残りの2人は「天賦」に属する者か、あるいは「念能力」設定資料に記されていないキャラクターになるだろう。
すでに死亡しているキャラクターや、キメラ=アント勢を除いて「天賦」から最強候補になりそうなのは4人。暗殺一家の現当主であるシルバ=ゾルディックと、その息子イルミ=ゾルディック、幻影旅団の団長クロロ=ルシルフル、戦闘狂の奇術師ヒソカ=モロウである。