『鬼滅の刃』無限城編で脚光を浴びる!? 地味ながらやけに気になる…究極の一般隊士「村田さん」の活躍の画像
アニメ『劇場版 鬼滅の刃 無限城編』(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

 映画が大ヒット公開中の『鬼滅の刃』。物語の舞台は、鬼舞辻無惨の根城である無限城へと移り、鬼殺隊が必死に鬼と戦う様子が描かれ、観客を熱狂の渦に巻き込んでいる。

 これまでの戦いの総決算といったように、これまでの鬼とは比べものにならない強さを誇る上弦の鬼たちを相手に、主人公・竈門炭治郎をはじめとする鬼殺隊士たちも死力を尽くして応戦する。

 思えば、2019年にアニメ放送が開始された『鬼滅の刃』は炭治郎を中心に激しい戦いと鍛錬の様子が描かれてきた。振り返ってみると、彼らの成長の過程をまざまざと感じ、感慨深い気持ちになる。

 驚異的なスピードで成長を遂げる炭治郎とは対照的に、あまり活躍が取り沙汰されないが、妙に存在感のある一般隊士がいる。判明している階級は那田蜘蛛山編の時点で上から7番目の「癸」、そして下の名前はいまだに明かされていない「村田」だ。

 いかにもモブキャラと言わんばかりの特徴がない顔立ちに、中肉中背の体格。唯一の特徴は、センター分けのサラサラヘアの黒髪だ。『鬼滅の刃』の世界では、色鮮やかな髪色や派手な外見のキャラが多いため、彼ほど地味なキャラでもちゃんと名前が与えられているのは、彼と隠の後藤くらいのものだろう。

 だが、村田は地味ながらやけに気になってしまうキャラである。アニメで多くのモブ隊士が登場するシーンで、思わず村田を探してしまうという人も少なくないのではないだろうか。
 今回は、究極の一般隊士・村田の魅力に迫りたい。

 

※本記事には作品の内容を含みます

 

■究極の一般隊士・村田さんの軌跡

 彼の初登場は那田蜘蛛山編である。下弦の伍・累の家族である母蜘蛛の糸に操られ、隊士同士が斬り合いをしている凄惨なシーンで、村田は炭治郎・嘴平伊之助と初めて邂逅した。

 当時彼は、自身より階級が低い炭治郎が加勢に来たことに対し、開口一番「癸なんて何人来ても同じだ 意味が無い!!」と絶望している。しかし、その後冷静さを取り戻し、操られた隊士たちの相手を一手に引き受け、炭治郎に鬼を追うよう促すという先輩隊士としてのかっこいい一面も見られた。

 だが、その直後、今度は累の姉蜘蛛に捕らえられて繭の中に閉じ込められ、服を溶かされて一糸まとわぬ姿になってしまう。ここで初登場の蟲柱・胡蝶しのぶに救出されるも、無様な姿を晒してしまうこととなった。もっとも、しのぶは意に介する様子もなく、ある意味、彼女の冷静さを際立たせる印象的なシーンとなった。

 ちなみに、村田はアニメ第20話の次回予告ではしのぶとともに登場しており、彼女の日輪刀の仕組みを聞いて「よし! 俺も特別な刀で一気に昇進を!」と、意気込むアニメオリジナルシーンが描かれている。しかし、しのぶからは「まずは隊服を溶かされないような実力を身に付けるべきだと思います」と、毒のある言い方をされていた。

 村田が次に登場したのが、那田蜘蛛山編後に、機能回復訓練を受けていた炭治郎を見舞うシーンだ。先の戦いの報告で柱合会議に召集され、柱たちからかなり詰められたらしい。そのことを炭治郎に愚痴っていたが、この描写からは、戦いの場で初めて出会った後輩隊士をわざわざ見舞う、面倒見の良さや優しい人情が垣間見える。

 そう、村田はどこまでも普通の人間なのである。常識人であり、人間味あふれる一面こそが地味さを際立たせているようだが、超人的なキャラクターが多い『鬼滅の刃』の世界において、なんだか親近感が湧くというか、妙な安心感さえ与えてくれるのだ。

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