“憎しみこそが強さの源”強烈なしごきで性格激変も…『聖闘士星矢』聖闘士が苦闘した「幼少期の試練」の画像
アニメ『聖闘士星矢 Blu-ray BOX』第1巻 (C)バンダイビジュアル

 1985年より『週刊少年ジャンプ』にて連載が開始された、車田正美氏の不朽の名作『聖闘士星矢』。本作はギリシア神話をモチーフにしたバトル漫画であり、主人公・ペガサス星矢をはじめ、多くの仲間たちが敵に立ち向かっていくのが見どころだ。

 星矢をはじめとした聖闘士は超人的な強さを誇るが、その秘訣は彼らが経験した幼少期の壮絶な修行にある。星矢たち仲間は同じ児童養護施設で育つも、それぞれが幼いうちに地獄のような修行場へ行き、生死をさまようほどの修行を積んできたのだ。

 ここでは、聖闘士たちがくぐり抜けてきた、あまりにも過酷な幼少期のエピソードを振り返ってみよう。

 

※本記事には作品の内容を含みます

 

■断崖絶壁に吊るされ腹筋1000回…星矢7歳の苦難

 まずは主人公である、青銅聖闘士・ペガサス星矢の幼少期を振り返りたい。

 星矢は立派な聖闘士になるべく、自分の聖衣を手に入れるために若干7歳でギリシアの聖域での修行に身を投じる。

 星矢に厳しい修行をおこなったのは、謎の女性仮面戦士・魔鈴だ。彼女はギリシアに着いたばかりの星矢に対して巨大な岩を割れと命じ、“ここに来た以上、見事な聖闘士になって出ていくか、死体となって帰るかしかない”と、いっさい甘えを許さない姿勢を見せる。

 修行は過酷を極めた。幼い星矢は断崖絶壁に吊るされ、腹筋1000回と命じられる。助けを求めて泣きわめく星矢に、魔鈴は「あとたったの362回!」と冷たく言い放つだけでなく、力尽き落下していく彼を見て「死ねば……」と非情な言葉を浴びせるのだ。

 気を失い海に落ちたあと、星矢は再び魔鈴に拾い上げられ、その後も想像を絶する修行の日々を7歳から13歳になるまで送った。しかもこの修行に旅立つ日、星矢は唯一の肉親である姉・星華とも生き別れているのだ。

 しかし、その地獄のような修行を耐え抜いた星矢は、見事、聖闘士となる。聖衣を懸けた決戦では、因縁の相手であるカシオスと対決。カシオスの耳を吹き飛ばし、必殺技「ペガサス流星拳」で勝利を収め、青銅聖闘士として活躍していくのであった。

 ここまで幼少期に苦労を重ねれば、主人公としての強さも身に付くのは当然かもしれない。逆境を乗り越えたからこそ、不屈の精神が培われたのだろう。

■弟を庇って自らデスクィーン島へ…師匠を殺した一輝

 星矢以外の青銅聖闘士たちもまた、それぞれが幼少期に厳しい特訓を受けている。中でも、最も過酷で筆舌に尽くしがたい体験をしたのが、フェニックス一輝だろう。

 そもそも修行先は、一輝たちがともに過ごした孤児院でのくじ引きで決まる。そこで弟のアンドロメダ瞬が引き当てたのが、“デスクィーン島”だった。

 デスクィーン島は1年中、火の雨が降り注ぐ灼熱地獄で、いまだかつてこの地に送られて帰ってきた者はいないと恐れられる場所であった。それを知った兄の一輝は、瞬の代わりにデスクィーン島へ行くのだ。

 しかし、そこはまさに地獄だった。一輝の師匠となるギルティーは“憎しみこそが強さの源”という考えであり、容赦なく一輝をしごきあげる。

 一輝が感謝の言葉を口にすれば、逆に激高し暴力を振るうという理不尽ぶりであり、一輝の心身を徹底的に追い詰めていった。そんな地獄の日々における唯一の心の支えであったエスメラルダという女性をギルティーの攻撃により殺されてしまった時、一輝はついに限界を迎えてしまう。

 その後、一輝は聖闘士として日本へ帰ってくるものの、あまりの過酷な体験により性格が変わっており、星矢たちの敵として立ちはだかる。かつて弟想いだった優しい兄の面影はなく、6年ぶりに再会した瞬に対しても容赦なく攻撃するなど、冷酷な戦士へと変貌してしまっていたのだ。

 しかし、そんな一輝は星矢たちとの厳しい戦いを重ねるうちに、徐々に心境が変化していく。最も過酷な修行を積んだ一輝は、青銅聖闘士の中でも屈指の実力者となり、死んだかに見えても蘇る、まさに「不死鳥」の名にふさわしいキャラへと成長していくのだ。

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