「人間製造機」や「バイバイン」も…『ドラえもん』のび太のせいで「あわや世界が滅んでいたかもしれない」恐怖のエピソードの画像
てんとう虫コミックス『ドラえもん』第44巻(小学館)

 藤子・F・不二雄さんの代表作『ドラえもん』は、夢のような「ひみつ道具」の数々で、子どもたちに希望を与えてきた作品だ。たいていはのび太が道具を使って失敗するオチが多いのだが、「あんな道具があればいいなあ」と夢を膨らませた読者も多かっただろう。

 しかし、中には安易に道具を扱ったのび太の行動が、とんでもない事態を引き起こしてしまうエピソードも存在する。ここでは、のび太の軽率な行動が、あわや世界を滅亡させていたかもしれない恐怖のエピソードをいくつか紹介したい。


※本記事には各作品の内容を含みます

 

■恐怖のミュータントを作ってしまった「人間製造機」

 まずは『ドラえもん』の中でも、特に不気味なエピソードとして知られる「人間製造機」を紹介したい。

 ジャイアンやスネ夫にからかわれ、工作で何かすごい物を作ろうと決心したのび太。ドラえもんが出かけた後の部屋で「人間製造機」という巨大な道具を見つけたのび太は、ドラえもんの“触るな”という忠告を無視して機械を動かし、人間を作ってしまうのである。そこで誕生したのは、見た目は赤ん坊の姿をしているが、超能力を持つミュータントであった。

 のび太がミュータントを作ったと知ったドラえもんは慌てて機械を壊そうとするものの、ミュータントが持つ念力により返り討ちに遭ってしまう。彼は念力を使ってしずかを電気死刑にしようとするなど、もはや手の付けようがない。

 このミュータントが以前作られた際には人間を征服しようとして大騒ぎになり、国連軍まで出動したという。最終的にドラえもんの逆時計によって原材料に戻ったミュータントだが、のび太の“触るなと言われると触りたくなる”という好奇心が招いた、恐ろしいエピソードだ。

■くりまんじゅうで世界が埋め尽くされる「バイバイン」

 「バイバイン」は、くりまんじゅうで世界が危機に陥るというエピソードだ。

 ある日、“くりまんじゅうをずっと食べ続けたい”というのび太に対し、ドラえもんは「バイバイン」という薬を出す。

 これは、液体を1滴かけると最初の5分で2つになり、さらに5分後には4つ、そのまた5分後には8つ……と、倍々に増えていく道具だ。

 欲張ったのび太はくりまんじゅうが4つになるまで待った結果、増えすぎたくりまんじゅうを食べきれなくなり、ゴミ箱に捨ててしまう。

 しかし、その後もくりまんじゅうは増え続け、このままでは1日で地球がくりまんじゅうで覆い尽くされてしまう事態となってしまった。増え続けるくりまんじゅうを見て慌てたドラえもんは、残りのくりまんじゅうをロケットに積み、宇宙の彼方に飛ばすのであった。

 しかし、冷静に考えてみると、宇宙の彼方に飛ばしてもくりまんじゅうは5分経つごとに倍増していくため、そのうち宇宙空間もくりまんじゅうだらけになる可能性があるのではないだろうか……。

 バイバインで増やしたものはすぐに食べるなどして消費しないと、地球だけでなく宇宙空間すらも支配してしまうのだ。美味しいものをもっと増やしたいという、のび太の単純な食欲が招いたとんでもないエピソードである。

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