歴代『ガンダム』強化人間の悲哀を生んだ可変モビルアーマー「サイコ・ガンダム」の系譜 「えっ、アムロも乗ってたの?」の画像
DVD「機動戦士Zガンダム Volume.5」(バンダイナムコフィルムワークス) (C)創通・サンライズ

 テレビアニメ『機動戦士Zガンダム』に初登場したとき、その巨大さと禍々しいビジュアルから視聴者に強烈なインパクトを与えた「サイコ・ガンダム」。最近ではテレビアニメ『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』にも登場し、大反響を呼んだ。

 「サイコ・ガンダム」シリーズは、フォウ・ムラサメやロザミア・バダム、プルツーなどの強化人間が搭乗したことでも知られ、最新作の『ジークアクス』でも強化人間のドゥー・ムラサメがパイロットを務めていた。

 そんなサイコ・ガンダムたちは可変機構を備えた巨大なモビルアーマーという見た目のインパクトもさることながら、Iフィールド・ジェネレーターをはじめ、さまざまな特殊な武装を装備しておりガンダムファンを驚かせてきた。

 そこで今回は、意外と知らないことも多いサイコ・ガンダムの系譜についてたどってみたい。

※本記事には各作品の内容を含みます。

■ホンコン・シティで大暴れした「初代・漆黒の巨人」

 『機動戦士Zガンダム』に登場したサイコ・ガンダムは、その巨体と圧倒的な火力でホンコン・シティを破壊する。そのパイロットは、強化人間のフォウ・ムラサメだ。

 可憐な少女と、禍々しさすら漂うサイコ・ガンダムの漆黒ボディのアンバランスさが印象に残っている人も多いのではないだろうか。

 書籍『ガンダム・モビルスーツ・バイブル 36号』(デアゴスティーニ・ジャパン)によれば、同機はニュータイプ専用モビルスーツ(MS)「ジオング」の設計思想をもとに、サイコミュ・システムをガンダムタイプに導入したと書かれている。ガンダムなのにジオンの機体であるジオングがベースになっている点は非常に興味深い。

 なお当時の技術ではサイコミュの小型化が難しく、結局40mもの巨体になったが、サイコミュの導入によって脳波による機体制御や火器管制が可能となっている。劇中ではフォウが遠隔操作で機体を動かす場面もあった。

 同機のバリエーションとしては、漫画『機動戦士ガンダム U.C.0094 アクロス・ザ・スカイ』に一般兵でもサイコミュ兵器が扱えるようになる「ナイトロシステム」を搭載した機体が登場。漫画『機動戦士クロスボーン・ガンダム DUST』には、海底都市に秘匿されていたサイコ・ガンダムの1機「ムラサメ」が登場する。

 また『ジークアクス』でのサイコ・ガンダムは装甲板をビットのように飛ばすことができ、攻防に活躍。また、サイコ・ガンダムMk-IIのリフレクタービットと同様にビームを反射させる機能も披露していた。

■ビジュアルの凶悪さが増した「2代目」

 『機動戦士Zガンダム』および『機動戦士ガンダムZZ』に登場したのが、サイコ・ガンダムMk-IIである。初代サイコ・ガンダムを上回る、最強の機動兵器を目指して開発された機体だ。

 紫のボディカラーと、悪魔か怪物のような印象を受ける凶悪そうなフェイスデザインが特徴。同機にはロザミア・バダムやプルツーらが乗った。

 『Zガンダム』のときは一部未完成だったともいわれ、また強化人間であるパイロットの情緒不安定さもあって能力を完全に発揮できずに敗れたとされる。

 その後ネオ・ジオンに回収されたサイコ・ガンダムMk-IIは、修復されたのちにプルツーをパイロットに据えている。

 初代譲りの全身に備えたメガ粒子砲はさらに設置箇所が増え、さらにその火力を生かすために導入されたのが「リフレクター・ビット」である。

 これはサイコミュ制御の無線式兵器であり、そこにIフィールドを発生させることでビームを反射することが可能。敵のビーム攻撃はもちろん、自身が放つメガ粒子砲を屈折させることで、強力なオールレンジ攻撃を行う。

 またサイコ・ガンダムMk-IIの腕部は有線サイコミュによって射出することもできる。そこからビーム状の刃を出したり、ビーム砲を放ったりと多彩な攻撃手段となるのだ。

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