■アムロはWBクルーと隔離され、地球へ
一方のアムロは、一年戦争での活躍から一躍伝説的なエースパイロットとなった。しかし、『機動戦士Zガンダム』の中では軟禁状態にあり、宇宙からも距離を置いている。
そこには戦後の連邦上層部が、ことさら「ニュータイプ」を警戒していたことが影響していた。ゲーム内の映像では、アムロが危険視されていく経緯までは分からないが、その入り口となった終戦直後のやり取りが克明に描かれている。
映像の中では、ア・バオア・クーでの最終決戦後にアムロが移送されるシーンが描かれる。そこで上等な料理でもてなされるなど、厚遇されているように見えるが、しばらくすると不穏な雰囲気が漂ってくる。なぜかアムロだけがホワイトベースのクルーたちから隔離され、別の艦で移送されているのが判明するからだ。
名目上は“戦後の精神面のケア”のためと説明されており、アムロも多少の戸惑いを見せていたものの、この時点では連邦軍は味方と考えていた。
しかし、その後『機動戦士Zガンダム』でのアムロの状況を知っている立場からすると、わざわざ仲間から隔離した連邦の思惑が透けてくる。艦内でアムロを手厚くもてなす軍人たちは、ホワイトベースの仲間たちと離れたくない様子のアムロを、言葉巧みにどうにか丸め込もうとするのである。
そもそもアムロは母親との確執もあり、地球に向かうことにそれほど積極的ではなかった。彼女の無事だけ確認して、地球をすぐに離れても問題なかったはずだ。しかし、「彼はこれから何年も宇宙に上がることはなかった」というナレーションがあり、彼の意思とは裏腹に連邦が地球に縛りつけたことを察することができる。
一年戦争の英雄だったはずのアムロを過剰なまでに危険視し、何かと理由をつけて監視下に置こうとする連邦の思惑が透けて見えるような重い空気感は、その後のアムロの運命を暗示しているようだった。
戦い続けることを選んだシャアと、戦いから遠ざけられるアムロ。『機動戦士ガンダム U.C. ENGAGE』の映像で明かされた一年戦争直後の様子には、その後の彼らの運命が示唆されていた。いわば彼らの分岐点となった映像は、2人の生き様を語る上での重要なエピソードといえそうだ。


