新作アニメ前に振り返る!『北斗の拳』いまだ解明されていない「7つの謎」 ラオウの子は誰が生んだ…?の画像
ゼノンコミックスDX『北斗の拳 究極版』第1巻(徳間書店)©武論尊・原哲夫

 2026年、アニメ『北斗の拳 -FIST OF THE NORTH STAR-』が放送・配信される。1983年から1988年まで『週刊少年ジャンプ』に連載された武論尊氏と原哲夫氏による名作は、胸に7つの傷を持つ北斗神拳伝承者・ケンシロウの「世紀末救世主伝説」を描き、再アニメ化では新スタッフと最新映像技術により原作の世界観が忠実に映像化される予定だ。

 そんな『北斗の拳』は、作者の武論氏がインタビューで設定が「ほぼ後付け」であることを明かしており、作中で解明されていない謎が多く残っていることでも有名だ。その中で7つを厳選して考察していきたい。

※本記事には作品の内容を含みます

■本作の舞台設定はいったいどこ?

 まず、本作のそもそもの舞台はどこの国なのか。

 ケンシロウやリンといった名前は日本的でありながら、サウザーやバットなど欧風の響きを持つ人物も登場し、国籍の特定は容易でない。しかし、第1話で無法者たちがばらまいた紙幣が「日本の1万円札」であったことから、少なくとも作者は舞台を日本に想定していた可能性が高い。さらに「KING」が関東を制圧している描写もあり、物語の中心地は日本列島東部と考えられるが、帝都や他の地域の正確な位置は未詳のままだ。

 第2部の舞台となる「修羅の国」の所在地も長らく謎であるが、現実的に考慮すると台湾説が有力だ。文明が退行し、レーダーも存在しない世界で、国境沿岸を防備する下級修羅の力をもって中国大陸全土を守るのは現実的でなく、面積の小さい台湾なら守りきれると推察できるからだ。仮に帝都が九州であるならば、船で渡ったのも辻褄が合う。

 「『北斗の拳』最大の謎」といえば、ラオウの息子リュウの母親問題だろう。物語では最後まで明かされずだったが、候補としてトウ、ユリア、そしてスピンオフ漫画『天の覇王 北斗の拳ラオウ外伝』で描かれたレイナの3人が挙がる。トウは幼い頃からラオウに想いを寄せたが最後に自害しており、母親として成立しにくい。ユリアはラオウとの決戦後、ケンシロウと過ごすも病死しており、妊娠・出産描写はない。

 レイナは拳王軍でラオウと行動をともにする描写が多く、物語上では最も自然な候補とされる。しかし武論氏は公式で「誰っていう設定は無い」「ユリアでもいいんじゃないかな?」と語り、解釈は読者に委ねられたままだ。

 また、ケンシロウの空白期間についても触れておく。ラオウとの死闘を終え、ユリアを失ったケンシロウは山に籠り、亡き彼女の石像を彫り続け、覇気を失った抜け殻のような日々を送る。その後、雲のジュウザの息子・ショウザの村に身を置くが、村が司刑隊に襲撃されても動かず戦いを拒んだ。

 そんな中、黒王号は左目に矢が刺さる負傷を負いながらもケンシロウの前で膝をつき戦いを促す。やがてケンシロウは涙を流して「漢の誇り」に目覚め、ついに黒王に跨がり司刑隊討伐に向かう。このエピソードは『月刊コミックゼノン』に掲載された『北斗の拳-LAST PIECE-』にて明かされた。

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