
1971年に放送が開始されてから現在に至るまで、多くの子どもたちに親しまれてきた『仮面ライダー』シリーズ。本作の魅力は、なんといってもカッコよく変身して敵を倒していく仮面ライダーたちの姿だろう。
しかし、中にはなかなか変身できず、ライダーがピンチに陥ってしまったこともある。そこで、最強のライダーたちが変身不能の危機に陥った名シーンを振り返っていこう。
※本記事には各作品の内容を含みます
■絶対零度の装置で変身ベルトが凍結! 大ピンチの初代ライダー・本郷猛
『仮面ライダー』97話「本郷猛 変身不可能!!」では、ゲルショッカーが怪人「ヒルカメレオン」を使い、人間の生き血を使ってライダーに敗れた怪人たちを復活させようとしていた。
序盤、ドライブ中のカップルが襲われ、その男性の血によって怪人「ガニコウモル」が蘇る。女性はなんとか逃げ延び、少年仮面ライダー隊に救助された。
その連絡により、ゲルショッカーのアジトを見つけたと知らされた本郷猛は、FBI特命捜査官・滝和也と現場に乗り込む。だが、これはヒルカメレオンの巧妙な罠であった。そこはゲルショッカーの前線基地で、ライダーである本郷をガニコウモルと対決させることで弱点を探ろうとしていたのである。
仮面ライダーに変身した本郷は難なくガニコウモルを撃破するが、その戦闘はヒルカメレオンによってフィルムに記録され、徹底的に分析された。その結果、ヒルカメレオンと科学者・ディー博士は、ライダーの変身ポーズにおけるわずか0.5秒の隙が弱点だと見抜く。その0.5秒の間、本郷は生身の人間でも仮面ライダーでもない無防備な状態になるというのだ。そして、この理論に基づき、ディー博士は1日で仮面ライダーを封じ込める冷却装置を開発した。
その後、アジトの捕虜になりすましたヒルカメレオンは、本郷をアジト内部へと誘い込むことに成功。単身で潜入した本郷はゲルショッカーの戦闘員を退けて捕虜を救出するも、ここで満を持して登場したのが、ヒルカメレオンだ。小競り合いの末、本郷は小さな空間に閉じ込められてしまう。
隣の部屋では、すでに本郷の仲間である立花藤兵衛たちが捕らえられており、彼らの生き血を吸おうとするヒルカメレオンの非道さに本郷は憤る。そしてついに仮面ライダーへの変身を試みるのだが、その瞬間、ディー博士が開発した絶対零度の装置が作動。変身ベルトの風力を凍り付かせ、機能が停止してしまう。
変身ポーズのまま固まってしまった本郷を見て、大いに喜ぶヒルカメレオン。絶体絶命のピンチに陥ったまさにその時、颯爽と登場したのが仮面ライダー2号だ。
混乱するゲルショッカーたちに、ヒルカメレオンは「このアジトは5分後に爆発する」と告げ、逃亡。2号によって助けられた本郷は、最終的に2人で力を合わせてゲルショッカーを壊滅に追い込んだ。そのまま倒されてもおかしくなかった状況であったが、ヒルカメレオンの詰めが甘いおかげで、本郷は九死に一生を得たのである。
■少女の命か、変身か…花粉の爆発でBLACKに変身できない南光太郎
『仮面ライダーBLACK』第20話「ライダーの墓場」では、暗黒結社「ゴルゴム」の幹部・三神官が、仮面ライダーBLACKにやられ続けていることに焦りを募らせていた。
日夜、ライダーの弱点を探る三神官だが、ある時、コウモリ怪人が、母親に人形を捨てられて泣いていた少女・加藤ゆかりを優しく慰める主人公・南光太郎(BLACK)の姿を発見する。
それを見た三神官の一人・大神官ダロムは、ライダーの弱点が“心の優しさ”であると見抜き、ゆかりを利用してライダーを倒す計画を立てる。
指令を受けた「アネモネ怪人」は人間の女性に化け、不動産会社の社長と称してゆかりの両親に家の売却を持ちかけた。目の前で大量の現金を見せて油断させ、新しい豪邸まで用意するという始末。この周到なワナにより、一家はすぐに引っ越しをしてしまう。
そして、古い家を“ライダーの墓場”にするべく、アネモネ怪人が罠を仕掛ける。夢のお告げで人形が家に戻っていると知ったゆかりが光太郎を連れて戻ると、無数のツルが光太郎を捕らえ、さらにゆかりは冷蔵庫に吸い込まれてしまった。そして、光太郎の愛車であるバイク型生体メカ・バトルホッパーも捕らわれてしまう。
光太郎は一度、BLACKに変身して窮地を脱するが、そこに現れたゆかりとその両親は三神官が化けた姿であった。油断した光太郎は別空間に飛ばされ、そこには捕らわれた本物のゆかりとバトルホッパー、そしてアネモネ怪人が待ち構えていた。
再び変身しようとする光太郎。だが、実はアネモネ怪人の花粉は変身ベルトから発する光によって爆発する性質を持っていた。ゆかりが木端微塵になるのを避けるべく、光太郎は変身できずに窮地に陥ってしまう。
だが、ここで余裕を見せた三神官の攻撃が、誤ってアネモネ怪人に命中。その衝撃でバトルホッパーの拘束が解除される。そこからは光太郎がゆかりを助けてライダーに変身し、一気に形勢は逆転した。
余計な横やりを入れた三神官は早々に姿を消し、アネモネ怪人はライダーキックで瞬殺された。
そのままアネモネ怪人にすべて任せておけば、もしかしたらBLACKは倒せたかもしれない。油断から千載一遇のチャンスを逃すとは、やはり敵陣営は詰めが甘いと言わざるを得ない。