
ゲームをクリアした人だけが見られる特権……それがエンディング。達成感とともに、それまでのプレイの苦労が報われる瞬間でもあります。
今よりはるかにハードの性能が低かったファミコン時代のゲームにも、素晴らしいエンディングに感動させられるゲームがたくさんありました。
しかし、中にはちゃんとクリアしたのに、バッドエンドのように感じてしまう「報われないエンディング」のゲームソフトも存在しました。
そこで今回はせっかく最後までクリアしたのに、個人的にどうしてもモヤモヤ感が残ってしまったファミコンソフトを振り返ってみたいと思います。
※本記事には作品の核心部分の内容を含みます。
■冷静に考えたらバッドエンドは当然だけど…!?
何がどうなってもバッドエンドにしかならないのが、1988年にナムコから発売された『カイの冒険』。名作『ドルアーガの塔』の前日譚にあたる「バビロニアンキャッスルサーガ」シリーズの作品で、『ドルアーガの塔』の主人公・ギルの恋人である「カイ」が主人公のゲームです。
悪魔ドルアーガによって奪われたブルークリスタルロッドを奪還するため、ドルアーガの塔の最上階を目指すアクションゲーム。ふわりとした独特の浮遊感のあるカイのジャンプが特徴で、塔内部の危険な地形やモンスターをよけながら上階への扉を進んでいきます。
『カイの冒険』には、『ドルアーガの塔』と同様に60階までのフロアがあり、クリア後にはさらに40のスペシャルフロアが遊べるようになります。
塔の最上階まで到達すると、ついにカイはブルークリスタルロッドを発見。しかし、それを取り返そうとしたところでドルアーガが現れます。そしてカイの体は石にされ、女神イシターに授かった魔法のティアラがむなしく残されているグラフィックが表示されるのです。
ここまでノーミスでクリアしようが、最短時間でクリアしようが、カイの石化は避けられず。まるでバッドエンドのような最後からは逃れられません。
それもそのはず、冒頭でお伝えした通り、本作は『ドルアーガの塔』の前日譚であり、この結末を受けてギルが巫女のカイを救出するための冒険に出るのです。しかしそういった流れを把握せずに、初めてクリアしたときは「なんだこれ…!?」と困惑したのでした。
■完全クリアしたはずなのに……ゾッとした「まさかの結末」
次に紹介するのは、ファミコンとは思えない美麗なグラフィックで知られるホラーRPGの傑作『スウィートホーム』(カプコン/1989年)。同作では呪いの館「間宮邸」からの脱出を目指すことになります。
本作は一般的なRPGと違い、一度死んでしまった登場人物は復活できません。それぞれ固有のアイテムを所持しており、死んでしまった場合は代用アイテムが存在するのでクリアに支障はないのです。
しかし本作は、物語の舞台となる間宮邸から脱出できた人数によってエンディングが変化する、マルチエンディングが特徴。どうせなら全員脱出させて、完全クリアを目指したくなるのがゲーマーというものでしょう。
そして、誰一人死なせずに館を脱出するエンディングを迎えると、生還した登場人物たちが全員そろって取材を受けるシーンが流れます。
これぞハッピーエンドと思いきや、最後の最後に突然不気味な効果音が流れ出し、とある男が振り向く恐怖シーンで終わる……という不穏な結末になっているのです。
まだ続きがあるかのような伏線的な演出になっており、すべて解決したというハッピーな気分にはなれません。脱出しても間宮邸の呪いからは逃げられないことを示唆するような後味の悪いエンディングに感じられ、それなら「わざと何人か死なせてクリアしたほうがよかったのでは?」と思ったほどでした。