■ガンダム史に残る名シーンは計算されたものだった?

 ガンダム主人公の奇策といえば、初代『機動戦士ガンダム』の主人公アムロ・レイを抜きには語れない。作中でさまざまな策を繰り出してきたアムロだが、その集大成ともいえる奇策を、最終話のシャア・アズナブルとの最終決戦で披露した。

 ア・バオア・クー周辺で、シャアが乗るジオングと壮絶なバトルを展開するアムロ。ビームライフルで胴体部を撃ち抜き、ジオングはシャアが乗る頭部だけになった。一方のガンダムも左腕や頭部を破壊されてしまう。

 双方、満身創痍の状態で要塞内部に突入し、ジオングは空中からメガ粒子砲を発射、一方のガンダムは上空のジオングヘッドに向けてビームライフルを放ち、相打ちになる。これが、かの有名な「ラストシューティング」と呼ばれる名シーンだ。

 しかし、本当に驚くべきところはそこではない。実はこの場面でアムロはガンダムに乗っておらず、自動操縦(オートパイロット)によって行われた攻撃だったのである。

 ちなみに『機動戦士ガンダム 記録全集5』(日本サンライズ)には、アムロがガンダムを降りた場面について「コンピューターにプログラムして飛び出すアムロ」と書かれていた。

 これを見るにガンダムの学習コンピューターによるオートパイロット任せというよりは、アムロがある程度ジオングの行動を予測したうえで、行動をセットしていたようにも受け取れる。

 どちらにしても切羽詰まった最終局面で自らの手ではなく自動操縦を用いるという発想自体が、実にアムロらしい策といえるだろう。


 今回は宇宙世紀の主人公たちの中から、印象に残った策の数々を紹介させてもらった。もちろん、このほかのガンダム主人公たちも、それぞれの個性に合わせた驚きの策を披露してきた。ガンダム好きの皆さんは、どのような奇策がもっとも印象に残っているだろうか。

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