創立50周年「シャフト」アニメ界に革命をもたらした「伝説の衝撃作」を振り返る  「マミる」「かみまみた」「シャフ度」…の画像
「シャフト50周年展」イベントキービジュアル ※シャフト50周年展公式X(@shaft_50th_ex)のポストより

 1975年9月1日に設立されたアニメ制作会社・シャフトが、今年で設立50周年を迎える。新房昭之監督の手によって確立された「シャフ度」と呼ばれる演出や、テロップや実写素材を多用する独特の映像手法はアニメファンの間でも認知され、アニメ史に強烈な足跡を残してきた。

 近年では、梅津泰臣氏を監督に迎えたオリジナルアニメシリーズ『ヴァージン・パンク』の第1弾『Clockwork Girl』が2025年6月に公開となり、挑戦を続ける姿勢を見せている。

 本稿では、そんな50周年を迎えたシャフトを語るうえで、欠かすことのできない作品をピックアップ。シャフトが手掛けた「記憶に残る名作」を改めて振り返ってみたい。

※本記事は作品の核心的な内容を含みます。

■アニメ発のスラングが辞典に掲載!?『魔法少女まどか☆マギカ』

 1つ目に紹介するのは、2011年に放送されたテレビアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』。全12話で描かれた本作は、監督・新房昭之氏、脚本・虚淵玄氏、キャラクター原案・蒼樹うめ氏という布陣で制作された。

 脚本の虚淵玄氏は所属するゲーム会社ニトロプラスにおいて陰鬱なストーリー展開を描くシナリオライターとしても知られ、「魔法少女×虚淵玄」の組み合わせを知ったファンを放送前からざわつかせた。

 物語の主人公である鹿目まどかは、不思議な存在キュゥべえに魔法少女契約を持ちかけられるが、転校生の暁美ほむらから「契約してはいけない」と警告される。親友の美樹さやかや他の魔法少女たちの戦いを目の当たりにする中で、魔法少女は願いを叶える代償として過酷な運命を背負い、希望と絶望の狭間で翻弄される存在であることが明らかになっていく……。

 キラキラとした魔法少女もののフォーマットを徹底的に覆し、予想を裏切る展開で視聴者に強烈なインパクトを与えた本作。特に第3話「もう何も恐くない」では、先輩キャラである巴マミが首を食いちぎられるシーンが描かれ、ネット上では「マミる」というスラングが誕生。翌年には『現代用語の基礎知識』(自由国民社)に掲載されるほどの影響を及ぼした。

 作品は第15回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門で大賞を受賞し、ブルーレイ第1巻は初週で約5.3万枚を売り上げ、当時のテレビアニメ史上最高の初動を更新。以降も快進撃を続け、2012年には総集編の劇場版(前・後編)、2013年には完全新作の劇場版『[新編]叛逆の物語』が公開され、深夜アニメ発の映画としては異例の20億円超えの興行収入を記録。さらに2026年2月には、ファン待望の完全新作『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ〈ワルプルギスの廻天〉』の公開が決定しており、その勢いはいまだとどまることを知らない。

 当時のアニメファンはもちろん、ふだんアニメを見ない層にも「まどマギ」の名は届き、シャフトの知名度を一気に押し上げる契機となった。暗くシリアスな物語と、美しく幻想的なビジュアル、重厚な音楽が織りなす世界観は、放送から10年以上が経った今でも鮮烈に語り継がれている。

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