■旅団に宣戦布告、ヒソカ「あと10人」発言の謎

 コミックス34巻、天空闘技場でのクロロとの死闘を経て復活したヒソカは、団員のマチ=コマチネに“今からどこで誰と遭っても その場で殺すまで闘る”と伝え、旅団に事実上の宣戦布告をした。

 その後、シャルナーク=リュウセイとコルトピ=トノフメイルを殺害した際、ヒソカは「あと10人……」と不気味に呟いている。しかし冷静に数えると、この時点での団員数には矛盾がある。すでにウボォーギンとパクノダが死亡しており、さらにコルトピとシャルナークを倒したことで、残りの団員は9人のはずだからだ。

 では、なぜ「あと10人」と言ったのか。この発言について、いくつかの可能性を探ってみたい。

 第1の説は、ヒソカがパクノダの死を知らなかったというものだ。ヒソカが旅団を抜けた後、パクノダはクラピカに関する情報を仲間に伝えるため、念能力「記憶弾(メモリーボム)」を使用し、その制約によって命を落とした。この事実をヒソカが知らなかったとすれば、彼女を数に含めて「10人」と考えていた可能性がある。

 第2の説は、イルミを数に含めていたというものだ。実際、「王位継承編」では、イルミがヒソカの依頼で旅団へ加入したことが判明している。ヒソカにとってイルミもまた、絶好のターゲットに他ならない。「あと10人」と口にした時点で、イルミをすでに旅団の一員としてカウントしていた可能性もあるのではないだろうか。

 いずれにしても、「あと10人……」というヒソカの一言は、旅団をめぐる今後の展開に不気味な余韻を残すセリフとなっている。

 

 幻影旅団をめぐる物語には、いまだ多くの謎が残されている。今回紹介した謎についても断片的な事実は描かれているものの、核心は依然として霧の中だ。

 作者の冨樫氏は、これらの謎にどのような答えを用意しているのだろう。クラピカやヒソカ、さらにはツェリードニヒを巻き込んだ因縁がどのように交錯していくのか……すべての謎が解き明かされる日を、読者は固唾をのんで待ち続けているのである。

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