■重みを感じるような近接戦に感動した「ガンダム対決」
昭和から平成にかけて製作されたOVA作品群の中でも、屈指の映像クオリティを誇るのが『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』。当時としては珍しかった「ガンダム対ガンダム」が描かれた作品である。
その象徴的な戦いが描かれたのは第10話。地球連邦軍の若きパイロット、コウ・ウラキの乗る「ガンダム試作1号機 フルバーニアン」と、ソロモンの悪夢と恐れられた元ジオンのエース、アナベル・ガトーの「ガンダム試作2号機」が激突する。
序盤は経験の差から圧倒されるコウだが、次第にガトーの動きに順応していく。ただし、試作2号機には直前に行った核攻撃により左腕がまともに動作しないというハンデがあった。
互いに強力な遠距離武装がない2機は必然的にビーム・サーベルで切り結ぶことになる。核兵器の運用に特化した重装甲の試作2号機の攻撃は重量感を感じるほどの迫力があった。
武装的にはバルカンとサーベルのみによるシンプルな戦闘ながら、時折コクピットのカメラ越しの描写が挿入されるなど演出面も見事。
最後はサーベルの出力を上げて圧倒しようとするガトーに対し、コウは試作1号機の胸部バーニアを至近距離で吹かして試作2号機の動きを止め、最終的に両機は大爆発を起こした。
圧巻のガンダム対決は壮絶な相打ちに終わったが、この戦闘シーンはとても手書きのアニメとは思えない素晴らしい映像描写だった。
時代が進むにつれて映像技術は向上し、作中の戦闘シーンのクオリティも上がっていった。しかし、古めのガンダム作品の中には、時代を超越したかのような見事な映像描写が存在するのも事実。ガンダム好きの皆さんが何度見てもすごいと思う神戦闘シーンといえば、どの作品を思い出すだろうか。