■妙な恐ろしさがあった『アエイオウ(A.E.I.O.U.)』

 最後に紹介するのはイタリアの砂アニメーション『アエイオウ(A.E.I.O.U.)』。こちらは具体的なエピソードというよりも、作品全体の雰囲気がなんとなく怖かった作品だ。

 本作では砂に描かれた子どもたちが冒険を繰り広げるのだが、単純な線や点のみで描かれているため、どうも表情がのっぺりとした印象を受ける。そんな中、笑顔のときの口元はやたら大きく描かれており、それが口が裂けているように見えるのも薄気味悪かった。

 ストーリーは子どもたちがサメやおばけ、オオカミなどの“敵”と遭遇し、魔法のバイオリンを使って倒すというシンプルなもの。登場人物はたびたび声を出すものの、「ア!」や「エ~」といった音のみでセリフはない。その「何を言っているかわからない」ところも、不気味さを感じさせる理由のひとつだろう。

 本作を制作した「MISSERI ANIMATIONS」の公式YouTubeチャンネルでは、「THE SHARK」と「THE GHOST」の2本が公開中。久しぶりに観てみると、もちろん昔と変わらず多少の不気味さは感じるものの、砂を活かしたアニメーションが面白くて夢中になってしまった。

 個人的に特に怖かった記憶があるのは魔女に追い詰められる回なのだが、いくら調べても情報が出てこない……。同世代であれば同じ記憶を持つ人もいると思うが、いかがだろう。

 

 独特の雰囲気やあたたかみが魅力の「ストップモーションアニメ」。子どもから大人まで楽しめるかわいらしい作品というイメージがあるからこそ、たまにちょっと怖い回があるとドキッとさせられてしまう。

 これを読んでいるあなたは、ストップモーションアニメにどんな思い出があるだろうか。

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