■プルトンだって乗りこなせる? 「ノリノリの実」

 「エッグヘッド編」で新登場した海軍本部中将・ブルーグラスが食べた「ノリノリの実」は、登場直後から「これは危険すぎる」と読者に恐れられた、いわくつきの悪魔の実である。

 第1094話でお披露目されたノリノリの実の能力は、“いかなるものも乗りこなす”というものだ。作中では人間兵器パシフィスタの操縦系統を乗っ取り、レーザー砲でジュエリー・ボニーを攻撃している。どうやら事前に組み込まれたプログラムなども無視して、強制的にコントロール下に置けるようだ。

 “いかなるもの”の定義は“生物・物を乗り物にできる”と語られており、生きている人間のような生物さえも乗りこなせる可能性がある。本人の覇気が及ぶ範囲という条件さえ満たせば、能力が発動した時点で相手を乗っ取って勝利できるだろう。ただし、ボニー本人を直接操らなかった点から、対人使用にはもう少しややこしい条件があるのかもしれない。

 だが、ノリノリの実の本当の恐ろしさはそこではない。現在『ONE PIECE』の世界には、目覚めれば世界を揺るがす史上最悪の戦艦・古代兵器「プルトン」が存在する。1発の砲撃で島を滅ぼすとされるプルトンも、戦艦である以上は乗り物なのだから、ノリノリの実の能力で操れるはずだ。

 もし、プルトンが眠るワノ国にブルーグラスが乗り込み、覇気が及ぶ範囲にプルトンを収めたりでもすれば……考えるだけで恐ろしい。世界を変えうる能力といえるだろう。ワノ国を強襲したのがブルーグラスではなく緑牛・アラマキであったことは、不幸中の幸いであったのかもしれない。

 

 作中において悪魔の実の能力は、厳格に定められていないことが多い。Dr.ベガパンクの仮説通り「誰かが望んだ人の進化の可能性」が悪魔の実であれば、その起源が人々の都合のいい願望であるからこそ、細かいルールが設定されていない可能性もあるだろう。

 だからこそ細かく考えると、使い方次第でチートじみた力を発揮する悪魔の実が存在しうるのかもしれない。それを考えて空想にふけるのも、願望を具現化する悪魔の実にふさわしい楽しみ方といえるだろう。

  1. 1
  2. 2
  3. 3