
尾田栄一郎氏による海洋冒険ロマン『ONE PIECE』には、現在までに200種類を超える「悪魔の実」が登場し、実にさまざまな能力で読者を楽しませている。
しかし、200種類以上もあれば、悪魔の実のあいだで明確な「能力格差」が生まれるのも必然であり、ファンの間では強い悪魔の実と弱い悪魔の実について議論されることもしばしばだ。
だが、作中屈指の実力者であるサー・クロコダイルは、「悪魔の実の能力は使い方と訓練次第でいくらでも強い戦闘手段になる」との言葉を残している。筆者的には自然(ロギア)系の「スナスナの実」を食べておいて言うセリフではないと思うのだが……ただ、言っていることは正しいと言えるだろう。
一見して強くなさそうな能力でも応用次第で強くなれるのはロマンがあるし、なによりそういう戦術を考えるのは、本作の醍醐味の一つだ。
そこで今回は、四皇さえも倒せるかもしれない(!?)最強のポテンシャルを秘めた悪魔の実と、その使い方を考えてみたい。
※本記事には作品の内容を含みます
■生命にも使えれば無敵!? 「ククククの実」
まずは、ビッグ・マム海賊団の総料理長・シュトロゼインが食べた「ククククの実」だ。
その能力は“この世のあらゆる物を食材に変える”とされており、作中の過去の回想では、彼が小さい丸太を輪切りすることで肉に変え、それをそのまま食べる姿が描かれている。
現在の時間軸ではシュトロゼインが高齢ということもあり、ククククの実の能力がハッキリ描かれたシーンは数少ない。そのため、“あらゆる物”がどこまでを指すのかは、未だ曖昧なのが現状だ。
仮に、この“あらゆる物”の範囲が生命にも及ぶとしたらどうだろうか? 丸太を切って肉に変えられるのなら、少なくとも有機物には有効なはずだ。もし生きている存在——動物や人間も食材に変えられるのなら、どんな強敵も完封しうる悪魔じみた力といえるだろう。
極論をいえば、四皇カイドウだろうとマーシャル・D・ティーチだろうと、食材にしてしまえば、それで勝ちだ。第872話でシュトロゼインが倒壊するホールケーキ城を食材に変える際、剣で切り裂いている点を考えれば、能力の使用条件は“刃物で切りつける”ことだと推測できる。たった一太刀でどんな格上にも勝利できる、破格の能力といえるだろう。
ただし、この能力は生命に有効なのか、覇気によって食材化を阻止されないかなど、不明点がとても多い。シュトロゼインが再登場するか、あるいは彼が死に新たな能力者が誕生する日でも来ない限り、この能力の全てが解明されることはないのかもしれない。
■SMILEを量産できれば最強軍隊結成も!「キビキビの実」
次は、あらゆる動物を使役できるきびだんごを生み出す「キビキビの実」だ。作中では若干8歳の愛らしいお玉が能力者であり、「ワノ国編」クライマックスではその能力で戦局を大きく左右するほどの活躍を見せた。
キビキビの実の能力の面白いところは、人造悪魔の実「SMILE」を食べた動物(ゾオン)系能力者にも効果があるところだ。第918話では馬のSMILEを食べた百獣海賊団の真打ち・スピードをきびだんごで家来にし、お玉自身が気絶しても能力が解除されないほどの絶対的な忠誠心を植えつけている。
このキビキビの実の能力の有効な使い方はとても簡単だ。SMILEを量産して能力者を増やし、彼らにきびだんごを食べさせればいい。これはカイドウが目指した能力者集団に、“絶対服従”という要素を追加することである。
SMILEの生みの親であるシーザー・クラウンと手を組むのもいいし、少し変則的だが、倒したい敵を騙してSMILEときび団子を食べさせるのも有効だろう。事実上の洗脳能力ともいえるキビキビの実は、使い方次第で世界をも支配できるはずだ。
気になるのは、SMILEの成功率が低すぎる点だろうか。10人に1人しか効き目がなく、残り9人は笑う以外の感情を失ってしまう。SMILE軍団を作る頃には、もっと膨大な犠牲者が生まれ、彼らから恨まれることは明確だ。このあたりは、シーザーによるSMILEの品種改良に期待するしかないだろう。