■まさかのハッピーエンドに驚き

 最後に紹介するのは、アニメオリジナルエピソード「汽笛の聞こえる古書店」。事件のきっかけは「玉木古書店」の経営を巡った、店主の玉木裕次郎と息子の玉木一朗の喧嘩である。

 一朗は裕次郎の身体を心配するあまり、店を早く畳んでほしいと思っていた。しかし何を言っても聞いてくれないため、隣の公園に飾ってあるSLを使って犯行に及んでしまう。このSLは、毎日決まった時間になると汽笛を鳴らして車輪が回転するというもの。一朗は、その車輪と店の本棚を糸で結びつけたのだ。

 それによって、SLの車輪が回転するのと同時に店の本棚はなぎ倒され、裕次郎はその下敷きに。命に別条はないものの怪我を負ってしまったが、これは一朗にとっても予想外の出来事だった。

 一朗は本棚を壊すだけのつもりで犯行に及んだ。本来、裕次郎はその時間は店にいないはずだったが、たまたま財布を忘れて戻った時、運悪くトリックが発動してしまったのである。

 トリックをコナンに見破られると、一朗は罪を認めて警察に自首する。しかし、息子の想いを知った裕次郎が被害届を出さなかったので、結果的には不起訴処分となった。

 しかもその後、古書店はブックカフェとして改装され、一朗の夢であるカフェのオープンと裕次郎の願いである店の存続を両立させることとなった。ある意味、事件をきっかけにすべてがおさまったともいえる、見事なハッピーエンドである。

 

 犯人が捕まらなかったレアケースは、なんといっても被害者が死亡していないことが一番大きい。一歩間違えばもっと大きな悲劇が起こっていたかもしれないと思うと、ぞっとしてしまう。

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