『名探偵コナン』解決はしたけど捕まらなかった…誰も逮捕されなかったレア回「スキューバダイビング殺人事件」に「アイドル達の秘密」の画像
青山剛昌『名探偵コナン』(小学館)第17巻

 青山剛昌氏による『名探偵コナン』(小学館)は、今年の『24時間テレビ』のチャリTシャツのデザインになったことも話題を呼んだ、国民的作品である。連載開始から30年以上経った今なお、世界中で愛される作品として走り続けているのはスゴいことだ。

 本作では数多くの事件が起こり、主人公の江戸川コナンがその頭脳を駆使して見事に解決してきた。これまで捕まった犯人は数知れずだが、実は中には、事件が起こったのに誰も逮捕されなかったエピソードもある。今回はそんなレアケースについて紹介していこう。

 

※本記事には作品の内容を含みます 

■事件の裏に隠された想いとは…

 まず紹介したいのが、原作コミックス17巻に収録されている「スキューバダイビング殺人事件」。このエピソードは、コナンと毛利蘭、毛利夫婦が海水浴場で過ごす中、とある大学生グループと出会うところから始まる。

 松崎雅彦は、幼なじみで婚約者の戸田貴和子と妹の松崎はるみ、その他の友人とともに海に来ていた。コナンたちも交えて楽しい時間を過ごす彼らだったが、そんな中、海に潜った貴和子が溺れかける。

 皆がすぐに気付き助けたおかげで命に別状はなかったが、貴和子は意識を失ってしまった。おまけに、その手には近海にはいないはずのウミヘビに咬まれた痕が……。事件性を疑ったコナンは推理を始め、やがて犯人がはるみだと見抜く。

 実は貴和子は海に入る前にはるみと口裏を合わせ、わざと溺れたふりをしていた。そうすることで、愛する雅彦の気持ちを試したかったのだという。雅彦は泳げなかったが、それでも自分が溺れたら助けに来るかを知りたかったのだ。

 はるみはそんな彼女を助けに行った際、ウエストポーチに忍ばせたウミヘビを貴和子に噛みつかせた。その動機は、雅彦のことが好きだったから……。実は、雅彦とはるみは親同士の再婚で兄妹になった。それでもはるみは、兄への想いを隠して2人の関係を見守るしかなく、やるせない気持ちを貴和子にぶつけてしまったのだった。

 その後目覚めた貴和子は、はるみの切なる想いにようやく気付き、自分のおこないについて謝り始める。おまけに、「バチが当たったのよ…人の心を試そうとして…」「だから、ウミヘビに咬まれたの…」と、はるみの罪を許したのだった。 

■アイドルユニット内で事件が…!?

 次は32巻に収録されている「アイドル達の秘密」だ。こちらの事件の主役は、「アース・レディース」という今は解散したアイドルユニット。毛利小五郎が好きなアイドル・沖野ヨーコが所属していたユニットで、彼女の親友で同じく元メンバーの草野薫の婚約をきっかけに、久しぶりに集まったのだ。

 薫は人気俳優・剣崎修と婚約しており、そのお祝いのホームパーティーには小五郎も招待された。そんな中、入浴中の薫が何者かに首を切られるという事件が発生。最初は内部犯ではないかとメンバーが疑われたが、薫がストーカー被害にあっていたという話から、目暮十三警部は外部の犯行として捜査を進める。

 しかし、犯人はメンバーのひとり・岳野ユキで、なんと自身の爪を研いで犯行に及んでいた。ひそかに剣崎に想いを寄せていたユキは、薫が彼と“話題作りのために婚約した”と話しているのを聞いて、嫉妬心と怒りのあまり凶行に走ってしまったのだ。

 その後、血糖降下剤によって自殺を図ろうとしたユキだが、コナンに助けられ昏睡状態に陥るだけで済んだ。彼女が目覚めてからは、薫のほうも首に包帯を巻いている程度で元気な様子。薫はユキの犯行と分かっていたが、追及することはしなかった。

 実は、薫と剣崎の婚約は彼女の本命であるマネージャー・間熊篤の気を引くための嘘だった。だからこそ、薫はユキの想いを知らずに傷つけてしまったと反省していたのだろう。そのため警察には犯人について告げず、うやむやのまま事件は幕を閉じることとなった。 

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