■せっかく両想いになったのにまさかの兄妹疑惑『ママレード・ボーイ』
吉住渉氏の『ママレード・ボーイ』は1992年から連載された作品だ。
物語は、高校生の小石川光希と松浦遊の両親が、パートナーを交換して再婚するというとんでもない設定から始まる。これにより、光希と遊は一つ屋根の下で同居を始めることになり、義理の兄妹という複雑な関係になるのだ。
そんな2人は暮らし始めるうちにお互いを意識するようになり、やがて恋人同士になるのだった。
光希と遊が結ばれるまでには、他の同級生も巻き込んだ三角関係などもあり、長い時間がかかった。紆余曲折を経てやっと結ばれた2人。だが、その矢先になんと兄妹疑惑が起きてしまう。遊が偶然見つけた両親の過去の写真……そこに写っていた母親のパートナーが光希の父親だったのだ。
光希と自分は異母兄妹だと思い込んだ遊は、苦悩の末、一方的に光希に別れを告げる。ただでさえ同居人というだけでもハードルの高い恋愛に、まさかの異母兄妹疑惑が加わった衝撃的な展開。これがきっかけで、2人は長くつらい別れを経験することとなる。
ここまでくっついては離れてを繰り返してきた光希と遊。まさか最後の最後に兄妹疑惑が起きるなんて、誰も予想できなかっただろう。
そもそも2組の両親のパートナー交換という驚きの展開からスタートした本作は、最初から最後まで良い意味で読者を裏切り、いろいろな急展開を見せてくれた作品であった。
90年代の黄金期における『りぼん』といえば、可愛いヒロインとカッコいいヒーローが結ばれる王道ラブストーリを想像するかもしれない。しかし振り返ってみると、どの作品も一筋縄ではいかない意外な展開を迎えることが多く、読者の予想を鮮やかに裏切るようなストーリーが待っていた。
『りぼん』に掲載された人気作は、こうした驚きの連続こそが読者の心をつかんで離さず、大人になっても色褪せない感動を与えているのだろう。