■『快傑ズバット』何度“死”を匂わせる!? 想像を絶する展開

 昭和の変身ヒーローを代表する俳優と言えば、『仮面ライダーV3』や『ジャッカー電撃隊』でも主役を務めた宮内洋さんだろう。その宮内さんが「これぞヒーロー」を体現した『快傑ズバット』(1977年)もまた、衝撃的な最終回であった。

 本作の物語は、親友の科学者・飛鳥五郎を何者かに殺された私立探偵の早川健が犯人を捜す放浪の旅に出発し、行く先々で遭遇する悪の組織・ダッカーと死闘を繰り広げる姿が描かれる。

 何をやっても日本一の主人公が、毎話登場する敵組織の技の使い手たちと対峙した際に言い放つ「日本じゃあ二番目だ」のセリフはあまりに有名だ。子どもの頃、このマネをしたという人は多いだろう。

 そんな本作の最終話「さらば斗いの日々、そして」は、冒頭からいきなり早川が吊り橋から落ちそうになる限界アクションから幕を開ける。その後、仲間を救うために崖から身を乗り出す早川だが、ついには崖から転落。岩肌に身体を打ち付けられ「ゴツッ!」という音が響き渡るという、想像を絶する展開が待ち受ける。

 瀕死の重傷を負いながらも立ち上がる早川だが、その後も幾度となく崖から転落し、生死の境を彷徨い続ける。思わず「もう勘弁してやってくれ!」と言いたくなるような衝撃的な展開だ。

 その後、無事に生きていたことが判明して敵を倒すことにはなるが、主人公がここまで死の淵に立たされる最終回は類を見ない。おそらくは、特撮史上、いや日本のドラマ史上を見ても、最も主人公の死を匂わせた回数が多い最終回だと言えるだろう。

 ちなみに本作は、あまりにも人気がありすぎたため、予定よりも早く放送が終了したという逸話も存在する。

 

 昭和の時代だからこそできたであろう、衝撃的な最終回の数々。物語の整合性に関して言えば若干の疑問が残るものもあるが、それらを凌駕するほどの強烈なインパクトを視聴者の脳裏に焼き付けたことだけは確かだ。これらの作品たちは、今後も伝説として語り継がれていくのだろう。

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