
7月18日に公開され、日本映画史に残る躍進を続けている『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』。吾峠呼世晴氏の大ヒット漫画『鬼滅の刃』を原作とする本作は、劇場版としては『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』に続く第2作であり、いよいよ最大の敵・鬼舞辻無惨との最終決戦の舞台となる「無限城」での戦いが描かれている。
前作『無限列車編』では、多くのファンが劇場で涙し、鑑賞にハンカチやタオルが欠かせなかったという。それに続く今作『無限城編』は前作を上回る注目を集めており、ファンの間では「タオルが1枚じゃ足りない」なんて声もあがるほどで、歴史に残る感動作であることは間違いないだろう。
今回は、劇場版『無限城編』で大きな活躍を見せる重要キャラクターの1人、蟲柱・胡蝶しのぶの魅力について、掘り下げて紹介したい。
※本記事には作品の内容を含みます
■鬼殺隊の医療担当! 薬学に精通する重要なキャラクター
胡蝶しのぶと言えば、鬼殺隊の要である「柱」と呼ばれる9人の精鋭剣士の1人である。蟲柱の称号を持つ彼女は、柱としての強さもさることながら、医学や薬学にも精通しており、物語全体を通して重要な役割を担う存在だ。
彼女の私邸は「蝶屋敷」と呼ばれ、鬼との戦いで傷ついた隊士たちの治療もおこなっている。主人公・竈門炭治郎をはじめ、メインキャラクターの我妻善逸や嘴平伊之助も、しのぶの治療によって幾度となく死線をくぐり抜けてきた。
また、物語の序盤で炭治郎が「全集中・常中」を習得できたのも、蝶屋敷での「機能回復訓練」におけるしのぶの指導の賜物である。
彼女の指導は優しくも厳しく、個々の性格を見極めて助言を与える。たとえば、負けず嫌いの伊之助が訓練に伸び悩んでいる時、「まあできて当然ですけれども 仕方ないですできないなら しょうがないしょうがない」と、穏やかな口調で神経を逆なでし、結果として彼の成長を劇的に促すこととなった。
そんなしのぶの指導力は、継子の栗花落カナヲを見るとよく分かる。カナヲはしのぶの唯一の継子であるが、鬼殺隊の最終選別ではほぼ無傷の状態で帰還。同期の炭治郎や善逸、伊之助と比べても、その実力は最初から桁違いだった。
このようにしのぶは、鬼殺隊において、柱として戦いの要であるだけでなく、指導者として、医療担当としても欠かせない存在だ。アニメ『鬼滅の刃』では、宿敵・鬼舞辻無惨を倒すため、しのぶと同じく薬学に精通する鬼の珠世と協力体制になることが明かされており、続く『無限城』での最終決戦においても、彼女の知識が戦局を左右する重要なカギとなることは間違いないだろう。
■小柄な体格! 鬼を倒すために生み出した戦術
しのぶは、鬼殺隊では数少ない女性隊士の1人だ。公式ファンブックでは、身長は151cm、体重が37kgと明かされており、女性ということを加味しても、かなり小柄な体格をしている。
この体格ゆえ、彼女は鬼を倒す上での必須条件である「頸を斬る」腕力を持ち合わせていない。そのためしのぶは、他の隊士とは違った独自の戦闘術で鬼と戦っている。
それは、彼女が精通する薬学の知識を活かし、鬼が苦手とする「藤の花」から作った「毒」を生成して戦うというものだ。
彼女が使用する日輪刀は、刀鍛冶の里の長・鉄地河原鉄珍が作り上げた特殊なもので、細い刀身に先が太くなった形状をしている。これは、突きによって藤の花で作られた毒を、鬼の体内に注入するためだ。
さらに、この日輪刀は鞘に納めることで毒を調合・調整する機能もあり、しのぶは鬼が毒に順応してしまわないよう、鬼ごとに毒を調合・調整して戦っている。
俊敏な動きで正確に鬼の体を突く身体能力と、瞬時に鬼を見極め毒を調合できる判断力。この両方を兼ね備えたしのぶだからこそ扱える日輪刀というわけだ。柱の中で唯一、鬼の頸を斬れない彼女が今の地位を手にしているのは、その体格をハンディキャップとせず、自分の得意な分野で活路を見出した、並々ならぬ努力の賜物なのだろう。
その戦いぶりはまさに、「蝶のように舞い、蜂のように刺す」という言葉がふさわしい。彼女の華麗な初戦を見ることができる「那田蜘蛛山編」は必見である。