■なぜ老界王神はゼットソードに封じられていたのか?

 「魔人ブウ編」において、悟飯が界王神界で引き抜いた「ゼットソード」。伝説の剣と謳われていたが、宇宙一硬い金属「カッチン鋼」を試し斬りしたところ、あっさりと真っ二つに折れてしまう。そして、その中から現れたのが15代前の界王神、通称・老界王神だった。

 やせ細った体にチョビヒゲ、どこかとぼけた雰囲気の老界王神だが、本人曰く「かつてはかなりの美青年」だったという。だが、ある日、“自称プリチーなギャル”の魔女と誤ってポタラ合体してしまい、今の姿になったというのだ。(ちなみに、これは当時アニメで補完されていた設定である)

 では、なぜ老界王神はゼットソードの中に封じられていたのだろうか?

 原作では本人の口から“昔、やたらめったら強くて悪いヤツに封じ込められた”と語られたのみで、詳細は不明のままだった。しかしのちに、アニメ『ドラゴンボール超』において、その封印した張本人が明らかになる。なんとそれは、破壊神ビルスだった。

 しかもなんとそのきっかけは、ほんの些細な口論だったという。これは、短気で気分屋なビルスの性格を象徴するエピソードとも言えるだろうが、結果として老界王神は数千年もの間、ゼットソードの中に封じ込められることとなったのである。

■“未来”トランクスの世界に魔人ブウは現れるのか?

 人造人間17号・18号、さらにはセルすらも打ち倒し、トランクスによってようやく平和を取り戻した“未来”トランクスの世界。では、その時間軸において、魔人ブウはどうなったのだろうか?

 結論から言えば、魔人ブウは復活することはない。

 『ドラゴンボール超』の「“未来”トランクス編」序盤で語られたところによると、この世界でも魔導師バビディは魔人ブウの復活を目論んで暗躍していた。それを察知した界王神は、側近のキビトと共にトランクスの前に現れる。そして現行世界で悟飯を導いたように、トランクスを界王神界へと連れて行き、「Zソード」を抜かせて修行を積ませ、バビディの出現に備えさせたのだ。

 ところが、事態は界王神の想定を超えた展開を見せる。バビディが暗黒魔界の王・ダーブラを従えていたのだ。現行世界では魔人ブウにクッキーにされて早々に退場したため軽く見られがちだが、ダーブラの実力は「セル完全体以上」とされ、トランクスと界王神は苦戦を強いられてしまう。

 ちなみに、この未来世界ではゼットソードは折れることなく、ダーブラの「つば攻撃」によって石化。老界王神の復活も果たされない。

 最終的に界王神が命を賭してバビディの計画を阻止したことで、魔人ブウは封印されたまま、ついに復活することはなかった。なお、この“界王神の死”こそが、のちに現れる新たな脅威へとつながっていくのである。

 

 『ドラゴンボール』という物語は、ただのバトル漫画にとどまらず、その世界の裏側にまで想像を巡らせたくなる奥深さを秘めている。作中に散りばめられた数々の「謎」は、ファンにとって考察する余地を与えてくれる重要な要素であり、それこそがこの作品が何十年にもわたって愛され続ける理由のひとつだと言えるだろう。

 今回取り上げた4つの謎も、あくまでその一端に過ぎない。あなたが気になっている『ドラゴンボール』の謎は何だろうか? ぜひ、あなたの視点からも聞かせてほしい。

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