■現世に蘇った伝説の忍…『NARUTOーナルトー』うちはマダラ
1999年から『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載された、岸本斉史氏の『NARUTOーナルトー』は、日本古来の“忍”に大幅なアレンジを加え、ど派手で熱い激闘が繰り広げられるバトル漫画である。
本作において、その圧倒的な強さに反し、意外な結末を迎えた敵キャラといえば、うちは一族最強の忍・うちはマダラだろう。
作中では故人であったが、第四次忍界大戦のさなかに禁術「穢土転生」によって蘇り、主人公・ナルトたちの前に立ちはだかる。
火遁、木遁といった各種忍術の練度もさることながら、その目に宿した「万華鏡写輪眼」や「輪廻眼」の力……チャクラで生み出した巨像を操る「須佐能乎」や、巨大な岩石を墜落させる「地爆天星」などを駆使し、たった一人で戦場をかき乱し続けた。
さらに、マダラは尾獣の力すら制し、人柱力となったことで地上すべての生物に幻術をかける「無限月読」まで発動させる。うずまきナルトたちの最大の敵として大暴れしたマダラだが、彼の味方であった「暁」の一員・ゼツが突如裏切り、マダラの体は真のラスボス・大筒木カグヤ復活の触媒として利用されてしまった。
ナルトらの奮闘によりカグヤは封印され、マダラも元の姿を取り戻すが、力を使い果たしたその肉体は、死を待つだけの状態となる。
大災害の如く戦場を蹂躙したマダラだったが、その最期はかつての好敵手・千手柱間と言葉を交わしながら力尽きるという、どこか物悲しくも安らかな死に様であった。
絶望的なほどの実力で戦局を揺るがしたボスキャラたちだが、なかには主要キャラとの戦闘以外の意外な理由で退場するケースも少なくはない。毒に肉体を蝕まれる、宇宙にはじき出される、真のラスボスの触媒にされる……など、その散り際も実にバリエーション豊かである。
当時、彼らの圧倒的な実力に恐れおののいていた読者たちも、まさかの結末に唖然としてしまったのではないだろうか。