え、それで終わりなの!? バトル漫画で意外すぎた「強ボスの最期」『HUNTER×HUNTER』メルエムに『ジョジョの奇妙な冒険』カーズも…の画像
『HUNTER×HUNTER キメラアント編 Vol.3 DVD&Blu-ray BOX』(バップ)©P1998-2025 ©V・N・M

 主人公や仲間たちがそれぞれの身に着けた能力を駆使し、熱い激闘を繰り広げていくバトル漫画。その中で、これまでの敵とは一線を画す能力で活躍するボス級の敵キャラたちも大きな見どころだろう。

 彼らの強大な力は、登場人物のみならず、読者までも絶望の淵へと追い込む。そんなボスキャラたちだが、なかには圧倒的な実力を見せつけたにもかかわらず、あまりにもあっさりとした呆気ない散り際を披露した人物も存在する。

 思わず「え、これで終わり?」と読者を唖然とさせた、ボスキャラたちの予想外の決着を見ていこう。

 

※本記事には各作品の内容を含みます

 

■王の体を蝕む、絶対不可避の猛毒…『HUNTER×HUNTER』メルエム

 1998年より『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載されている、冨樫義博氏の『HUNTER×HUNTER』。本作は、世界中に散りばめられた未知の事物を追い求めるハンターたちの冒険と激闘を描いた大人気バトル漫画だ。

 なかでもその圧倒的な実力で読者を驚愕させたのが、「キメラ=アント編」の大ボス・メルエムだろう。

 メルエムはキメラ=アントたちの王として君臨し、その実力は作中通しても最高クラス。単純な戦闘能力はもちろん、相手のオーラを喰らうことで力に変えることができ、激闘を乗り越えるたびにさらなる能力を開花させるなど、類まれなる成長性も披露していた。

 多くの犠牲者を出したメルエムは、ついに作中最強キャラの一角であるハンター協会会長・アイザック=ネテロと激突する。壮絶な死闘の末、ネテロは自らの肉体に仕込んだ小型兵器「貧者の薔薇(ミニチュアローズ)」を発動し、メルエムを自爆に巻き込む。

 この大爆発を受けてなお、なんとか生還したメルエム。その不死身ぶりに読者も絶望したが、ここでネテロが仕込んでいたもう一つの策が効果を発揮し始める。

 実は「貧者の薔薇」は単純な爆破兵器ではなく、爆撃を受けた者に遅効性の毒を付与する二重の仕掛けがあった。

 メルエムは体内の毒までは消し切れず、衰弱の果てに事切れてしまう。絶対的強者として君臨していた王の最期が、まさか毒による衰弱死であるとは当時の読者も予想だにしなかったのではないだろうか。

 一方、死へと向かうメルエムが、そのさなかで生まれてきた意味や仲間の思いに気付いていく場面は、物悲しくも心を震わされる名シーンであった。

■永遠という名の苦痛…『ジョジョの奇妙な冒険』カーズ

 1986年から『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載が始まった、荒木飛呂彦氏の代表作『ジョジョの奇妙な冒険』は、とある血族の因縁をテーマに、時代や舞台を超えたさまざまな激闘を描いた能力バトル漫画である。

 なかでもその圧倒的な力で読者に絶望感を与えたのが、第2部のラスボスとして君臨するカーズだろう。

 カーズは長き眠りから目覚めた「柱の男」の一人で、自分たちが唯一の弱点とする太陽の光を克服するため、暗躍していく。

 ジョジョたちと激闘を繰り広げたカーズは、最終的に追い求めていたキーアイテム「エイジャの赤石」の力を引き出すことに成功し、悲願の「究極の生命体(アルティミット・シイング)」へと進化を遂げてしまう。

 あらゆる生物に肉体を変化させられ、溶岩の熱や真空にすら耐える不死性、さらには最大の弱点であった太陽の光すら克服……と、まさに究極の存在となったカーズ。

 自身の生み出した「波紋」で主人公、ジョセフ・ジョースターに襲い掛かるのだが、この力が「エイジャの赤石」によって増幅されたことで地面を貫通……遥か地中に眠るマグマを呼び覚ましてしまう。そして、その噴火のエネルギーによって、なんとカーズは宇宙空間に放り出されることに。

 肉体を変化させ、空気を噴出して帰還しようとするカーズだったが、絶対零度の空間では空気も肉体も一気に凍結し、いっさいの身動きが取れなくなってしまった。

 究極生命体になった影響で決して死ぬことができず、動くこともできない……カーズはその不老不死の状態で、永遠に宇宙をさまようことになってしまったのである。

 神にも近い存在になったカーズだったが、その代償はあまりにも大きかったと言えるだろう。

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