
敵味方問わず個性的な戦闘流派が登場する「バトル漫画」。真の実力者のみをふるいにかけるため、キャラクターたちが過酷な試練に挑む場面も珍しくはない。ときには実戦さながらの戦闘スキルが試されることもあり、一歩間違えれば命を落とすような危険な内容のものも存在する。
そのなかでも、熾烈な修練に耐え抜いた者のみに待ち受ける「卒業試験」は、これまでの試練を超越する過酷極まりない内容で読者をも唖然とさせてきた。
壮絶な内容に思わず目を背けてしまいたくなる、ゾッとするような「卒業試験」の内容について見ていこう。
※本記事には各作品の内容を含みます
■級友すら手にかける非情極まりない最終試験…『NARUTOーナルトー』
1999年から『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載された、岸本斉史氏の『NARUTOーナルトー』日本古来に存在した「忍」に独自の解釈を加え、少年漫画らしいド派手なバトルが展開される大人気作品だ。
作中でその壮絶な過去が明かされたのが、主人公・ナルトらの敵として立ちはだかった桃地再不斬である。
再不斬は「水の国」の隠れ里・霧隠れの抜け忍として登場し、部下である白とともに任務中のナルトたちと激突する。
身の丈ほどもある巨大な首切包丁や水遁系の術、音のみで相手を感知し殺害する「無音殺人術(サイレントキリング)」を駆使し、ナルトらを苦しめた強敵だ。
そんな彼も過去には忍者学校にて実力を磨いていたが、ナルトら木ノ葉隠れの忍たちとは違い、幼少期から過酷な試練を数々乗り越えてきていた。
特に壮絶なエピソードとして挙げられるのが、忍者学校の卒業試験だ。当時、霧隠れではなんと、試験に参加した子どもたちに実際に殺し合いをさせていたという。
再不斬は常人離れした実力と凶暴性から、なんとたった一人で100人以上の生徒たちを殺害。この大殺戮がきっかけとなり、試験自体に変革が起こったほどで、再不斬の残忍性が分かる印象的なエピソードとなっている。
忍としてまだ実戦経験も浅い子どもたちに殺し合いをさせる非人道的な試験内容もさることながら、それを幼い頃に堂々と乗り越えてしまう再不斬の異常性にも驚かされてしまう。
■蚩尤になりえるのは、真の強者ただ一人…『キングダム』
古代中国の春秋戦国時代を舞台に戦乱の世を生きる人々の衝突や葛藤、群像劇を描いた、原泰久氏の大人気伝奇漫画『キングダム』。2006年から『週刊ヤングジャンプ』(集英社)で連載されているが、その高い人気からアニメ化、実写映画化が続いている。
数々の猛者が戦場で活躍する本作において、なかでも高い実力で主人公・信を支え続けている女性剣士・羌瘣の存在が際立つ。
見た目こそ小柄な美少女の羌瘣だが、彼女は刺客一族「蚩尤族」の一派・羌族の出身で、幼少期から暗殺者になるための過酷な訓練を受けてきた。
羌族をはじめ、数々の氏族が伝説の暗殺者「蚩尤」を目指して鍛錬しているのだが、この蚩尤になることができるのは氏族の中でたった一人。そのため、氏族たちは「祭」と呼ばれるとある試験を執りおこなうのである。
「祭」では19ある氏族から実力者たちが選出され、長老らが見守る中、最後の一人になるまでひたすら殺し合いをおこなう。
蚩尤になれるのは、圧倒的な力を持つ者だけ……それゆえ、彼らは己の力を示すため、他の氏族の人間をすべて敵とみなし、血で血を洗う決闘を繰り広げるのである。
命を賭して最強の証明を求められるこの儀式こそが、羌瘣というキャラクターの異質さと、彼女が背負う過去の凄絶さを物語っている。