■実戦で試される、鬼殺隊としての素質…『鬼滅の刃』

 鬼と化した妹を救うため、鬼を滅する秘密集団「鬼殺隊」に入隊した少年の成長、奮闘を描く剣戟バトル漫画『鬼滅の刃』。

 2016年から『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載された吾峠呼世晴氏の代表作で、その凄まじい人気から一大ムーブメントを巻き起こし、7月18日より公開された映画『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』も大きな話題となっている。

 物語の序盤、主人公・竈門炭治郎は「鬼殺隊」の一員になるべく過酷な修行に打ち込むが、やがて隊員として選ばれるための「最終選別」に挑むこととなる。

 試験の舞台は、一面に藤の花が咲き乱れる藤襲山。試験には炭治郎以外にも、多数の隊員志望たちが集結していた。

 実はこの藤襲山には「鬼殺隊」が捕獲した鬼たちが閉じ込められていた。試験では山の中で7日間生き残ることが合格条件である。

 捕縛されているのは本物の鬼たちで、もちろん手加減などしてくれるわけもない。それどころか、捕縛されたことで怒り心頭の彼らを前に、参加者たちは7日ものあいだ、生き残りをかけたサバイバル生活を強いられる。

 犠牲者が出ることも珍しくはなく、誰かが手助けをしてくれることもない。参加者は己の力のみを頼りに、鬼を退けなければならないのだ。

 なんとも過酷な試験であるが、クリアする条件は「7日間生き延びること」であり、鬼を倒した数は問われない。状況に応じて撤退し生存の道を掴み取ることも、「鬼殺隊」にとっては必要な技能ということなのかもしれない。

 

 バトル漫画において、数々の試練を乗り越えた先にすべての集大成として待ち構える「最終試験」。

 その内容はいずれも壮絶なものばかりで、受験者たちが命を落とすことも珍しくはない。試験の内容が苛烈であればあるほど、それを乗り越えたキャラクターたちの実力に高い説得力が生まれるのも、バトル漫画ならではの魅力だろう。

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