ぷりちゅ~でちょびりんき!任天堂『とっとこハム太郎』令和でも味わい深すぎる「ハム語」の世界の画像
ゲームボーイカラー専用ソフト『とっとこハム太郎2 ハムちゃんず大集合でちゅ』(編集部撮影) (C)2001 Nintendo (C)河井リツ子/小学館・SMDE・テレビ東京

 平成初期に大ブームを巻き起こしたアニメ『とっとこハム太郎』。ハム太郎をはじめとした「ハムちゃんず」のキュートさは人々の心を掴み、令和の今でもたびたび話題になるほどだ。

 そんな『ハム太郎』は任天堂によって何度かゲーム化されている。中でもゲームボーイカラー『とっとこハム太郎2 ハムちゃんず大集合でちゅ』(2001年)と、ゲームボーイアドバンス『とっとこハム太郎3 ラブラブ大冒険でちゅ』(2002年)が「神ゲー」と評価されていることは、ファンにとっては周知の事実だろう。

 この2作を語る上で欠かせないのが、ハムスターがゲーム内で使う「ハムご」。語尾や響きなどにハムスターらしさが散りばめられた、可愛らしくやさしい言語なのだが、中には「え、どういうこと?」と戸惑ってしまうワードもある。

 そんな可愛くてたまにツッコミどころもある、とにかくクセになる「ハムご」の魅力をあらためて振り返っていこう。

 

■ハムスター要素や擬音の響きがかわいい

 ハムごの最大の特徴といえばやはり、「ちゅ」や「ち」といったハムスターの鳴き声を思わせる音が取り入れられていることだ。

 基本のハムごである「あたっちゅ(意味:たいあたり)」、「もぐちゅ(意味:もぐる)」は、それぞれ「Attack」と「もぐる」に語尾「~ちゅ」を足したものである。成り立ちは実に単純だが、それだけでぐんと「ハムスターっぽさ」が増すのが分かるだろう。

 似た成り立ちの言葉の中で、筆者のお気に入りは「ぷりちゅ~(意味:かわいい)」や「よっちー(意味:なかよし)」。語感はもちろん、その言葉を使う時のハムスターのアクションや効果音がなんとも愛らしいのだ。特に、2匹のハムスターがおしりをぽよぽよとぶつけ合った後頬を寄せ合う「よっちー」は、悶絶級の可愛さである。

 また、擬音が多用されているのもハムごの特徴だ。「がちゃちゃ(意味:うるさい)」や「こそそ(意味:かくれる)」、「ぱぱらーん(意味:みせる)」、「ぺちゃちゃ(意味:おしゃべり)」といった言葉は、分かりやすいしイメージもしやすい。ハムごっぽさは薄めだが、日常会話にこっそり紛れこませてもバレなさそうなので、普段使いには持ってこいだ。

■意味が分かると嬉しい、秀逸な語彙も

 ここまで紹介してきた分かりやすいもの以外に、わりと難しい語彙も存在する。例えば「しーちゅる」。「すけてる」という意味のハムごで、「see-through」由来だと思われるが、筆者はゲームをプレイしていた当時、そんな英単語は知らなかった。後に「シースルー素材」といった言葉を耳にしてはじめて、なるほどと腑に落ちた次第である。

 このような、「英単語をハムごで最初に知ったケース」はわりと多く、「クイッちゅ(意味:いそぐ)」や「デリちゅ(意味:おいしい)」、「ぶれぶー(意味:ゆうき)」もそのうちに当てはまる。

 また幼少期の筆者が「そういうことか!」と特に感動したのは、「セサミん」。意味は「ひらく」……初見時は一体なぜ? と首をかしげたが、しばし考えて「開けゴマ(Open Sesame)」の「ゴマ(セサミ)」から来ているのだと気付いたときには、とても嬉しかった。

 ほかにも、「もちはこぶ」を意味する「ぷっぷく」という言葉がある。普通に考えるとあまり関連性は感じられないが、ハムスターはエサを頬袋に入れて巣まで運ぶ。その「ぷくぷく」に膨らんだ頬から連想されたと仮定すると、納得のワードセンスである。その言葉を聞くたび、ハムスターが頬をいっぱいにして走る姿が思い浮かぶようだ。

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