■袂を分かった二人は、仲間になる未来もあった?
「偉大なる航路(グランドライン)」制覇を成し遂げたロジャーは海賊王となった。その後、病に冒されたロジャーは船を降り、海軍に自首したことでローグタウンにて処刑が執行される。その処刑の日、シャンクスとバギーの間で決別に至る会話が行われた。
高熱のバギーを看病するために残り、ラフテルに行けなかったシャンクスは「(ラフテルに)行くんだったらおれ達は、いつか自分の船で行くよ」と告げていた。その言葉を信じたバギーは、いつしかシャンクスと一緒にラフテルに行くことが夢になっていたようだ。
しかしロジャー処刑の日、シャンクスはラフテルについて「気が変わった…今の所目指す気はねェかな…」と語り、その言葉を聞いたバギーは落胆する。
「でも海賊は続ける」というシャンクスは「おれと一緒に来いよ」とバギーを勧誘。だがバギーは「おめェの部下なんざ、まっぴらだ」「腰ぬけがァ」と即座に断った。
もしもこのとき、シャンクスがラフテルを目指す考えのままであれば、バギーは赤髪海賊団の一員に加わっていたはずだ。こうしたやりとりの末に、バギーはシャンクスと決別するのである。
だが、バギーのシャンクスに対する感情は相当複雑なようだ。ずっと近くで見てきたシャンクスがあまりに有望すぎて自身の夢を捨てたといい、ロジャーに続く次世代の海賊王になるのはシャンクスだと確信していた節がある。
もしかするとシャンクスの才能を誰よりも高く認めていたのが、バギーだったのかもしれない。
■扉絵に描かれた幸せそうな姿
第581話の扉絵には、現在は犬猿の仲であるはずのシャンクスとバギーの姿が描かれている。それは二人がおでん屋で、楽しそうに飲み食いしているイラストだ。
空中に浮いたバギーの手がシャンクスの盃に酒を注いでおり、まるでこういう未来もあったと思わせるような印象的な扉絵である。
舞台がおでん屋なのは偶然なのか、それとも二人をロジャー海賊団で見守った光月おでんを示唆しているのかは分からないが、この扉絵が描かれたのはシャンクスがマリンフォード頂上決戦を終わらせるエピソードの時だ。
このとき作中でシャンクスはバギーと久々に再会。悪態をつくバギーを巧妙に丸め込んでルフィに帽子を届けさせるなど、昔なじみらしい親しげな関係性が健在であることが分かった。
過去の因縁や、行き違いによるいざこざはあるにせよ、あるいはこの扉絵のような未来がいつか訪れるのかもしれない。
少年時代は将来有望なシャンクスに期待や憧れにも近い感情を抱いていたバギー。それぞれの海賊団を作って以降、シャンクスに大きく水をあけられた時もあったが、いろいろあって現在は両者ともに四皇の地位まで上りつめた。
そして、くしくもシャンクス、バギーともに狙っているのは、ラフテルにある「ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)」。互いに同じモノを目指している以上、どこかで二人は再会を果たすことだろう。その先にどのような運命が待ち受けているのか、その時が来るのが楽しみでならない。