
世界中のファンから愛されている、尾田栄一郎氏による海洋冒険漫画『ONE PIECE(ワンピース)』。物語は最終章に突入し、これまで謎に包まれていたキャラクターの秘密が徐々に解き明かされつつある。
新世界に君臨する四皇にまつわる情報も少しずつ公開され、最近ではシャンクスや黒ひげに関する重大な情報も明らかになった。
そんな四皇の中で、少々不思議に映るのがシャンクスとバギーの関係だ。もともと二人はロジャー海賊団の見習いとして切磋琢磨していたが、袂を分かち、現在はそれぞれの海賊団を率いる身となった。
いがみ合う場面も多いが、どこか親しげな雰囲気も感じられる二人。今回はそのシャンクスとバギーの間で起こった過去の出来事を振り返りつつ、現在の数奇な関係性についてフォーカスしていきたい。
※本記事には作品の核心部分の内容を含みます。
■ロジャー海賊団での見習い時代
二人を語るうえで外せないのが、ロジャー海賊団での見習い時代のこと。顔を合わせるとお互いの主張をぶつけてケンカ三昧。そのたびにレイリーに諭されるなど、同じ目線で張り合う悪友でありライバルのような関係だった。
そのシャンクスについて、バギーは「海賊見習い時代の同志」とルフィに語った場面もある。実際、戦闘になればふだんの仲の悪さはどこへやら、頼もしい同志として共闘。バギーはシャンクスに「おれはてめェの戦闘の腕だけは買ってんだ」などと発言している。
アニメで描かれた白ひげ海賊団との3日3晩続いた戦闘シーンでは、多数の敵と対峙しながらシャンクスとバギーは互いの背を守り、武器を構えるシーンもある。二人の信頼感が伝わってくるような描写だった。
この戦闘を経て、ロジャーにスカウトされた光月おでんが船員になると、おでんはシャンクスのことを「赤太郎」、バギーのことは「バギ次郎」と呼び、可愛がっている。
いつもケンカばかりの二人だが、年長のおでんの目には本当の兄弟のような関係に見えたのだろう。もっとも「次郎」にされたバギーは、シャンクスの弟分のような扱いに憤慨していたが……。
その後ロジャー海賊団は、ついに「偉大なる航路(グランドライン)」の最終地点である「ラフテル」の位置を特定。念願の最後の島への上陸は目前だったが、そのタイミングでバギーは高熱で苦しむことになる。
バギーは泣きながら同行を懇願したが、無念のリタイア。その不運なバギーの看病を買って出たのはシャンクスだった。こうして二人は居残ることになり、おでんの日誌には「仲が良いのか悪いのか…」と書かれていた。
あらためて振り返ってみると他愛もない理由で衝突し、いがみ合いながらも、いざというときは互いに手を差しのべる仲だったのがよく分かる。麦わらの一味でいうゾロとサンジのような間柄に思えた読者も少なからずいるのではないだろうか。