「強烈な描写がトラウマに…」歴代『スーパー戦隊』大人もゾッとする「伝説のホラー回」の画像
DVD『忍者戦隊カクレンジャー』COLLECTION VOL.1 (東映ビデオ)©Toei Video Co.,LTD. 2016 All Rights Reserved.

 今年も夏が始まった。うだるような暑さに滅入っている人も多いかもしれないが、そんな時は『スーパー戦隊シリーズ』の「ホラー回」で、ひんやりとした気分を味わってみてはいかがだろうか?

 「明るく元気で、正義の味方!」そんなイメージが強い戦隊ヒーローたちだが、シリーズの中には、子ども向けとは思えないほどダークで背筋も凍るエピソードが潜んでいる。

 今回は、その中から「トラウマ級のホラー回」を厳選して紹介する。正義のヒーローが挑む、ひと味違う戦慄の物語……あなたもその恐怖に、ぜひ触れてみてほしい。

※本記事には各作品の内容を含みます

■夜の街に現れる吸血ミイラ…『ジャッカー電撃隊』

 まずは、『スーパー戦隊』シリーズ2作目『ジャッカー電撃隊』(1977年)第15話「真赤なオカルト!! 怪談・吸血鬼」から。昭和特撮ならではの恐怖と怪奇が詰め込まれた、インパクト抜群のホラー回である。

 物語は、夜道を歩く若い女性たちが次々と何者かに襲われ、連れ去られるという不可解な事件から始まる。犯人は、全身に包帯を巻いた機械怪物・デビルミイラ。

 「お前の血をもらうぞー!」と注射器を女性の首元に突き立て、意識を失わせてさらっていく。そのビジュアルと行動は、まさに昭和特撮の恐怖演出の真骨頂であり、当時の子どもたちに強烈なトラウマを植えつけた。

 事件の黒幕は、やはり本作の敵組織・世界的犯罪シンジケート「クライム」。さらってきた女性から血液を奪い、戦場で使える“粉末状の人工血液”の材料としていた。オカルトめいた吸血ミイラから始まりながらも、その背景には冷酷な科学犯罪が潜んでいるという展開もまた、不気味さに拍車をかけている。

 そしてこの話数で活躍を見せるのが、ジャッカー電撃隊の紅一点・カレン水木である。

 吸血ミイラに怯えながらも、姉をさらわれた少年・ケンタに「お姉ちゃんは私が必ず助け出してみせるわ」と約束し、敵の女ボスが経営するビューティーサロンに変装して単身潜入。一時は正体がバレて窮地に陥るも、得意の空手で窮地を脱し、他の隊員とともに敵を殲滅する。

 本エピソードは、昭和の特撮らしいゾッとする恐怖描写と、カレンのヒロイン的魅力が詰まった名エピソードであった。

■魂を抜かれた子どもたちが人形に…『五星戦隊ダイレンジャー』

 シリーズ17作目『五星戦隊ダイレンジャー』(1993年)第3話「魂ちょうだい!」第4話「俺たち甘いぜ!!」は、ホラー描写が満載の2部構成エピソードだ。

 登場する敵は、ゴーマ族の怪人・鍵道化師。その人間態は黒マントにハットをかぶった紳士風の男で、ローラースケートで深夜の住宅街を滑るように徘徊する姿は、まるで都市伝説の怪人のような不気味さだ。

 彼の標的は、夜眠っている子どもたちである。そっと窓から忍び込むと「ムヒョヒョヒョ……」と不気味な笑いを漏らしながら、特製の鍵を子どもの胸に差し込む。すると、体に扉が現れ、魂が抜き取られてしまう。魂を奪われた子どもは顔面蒼白となり、目を見開いたまま動かなくなる。

 さらに恐怖はそれだけではない。抜き取られた魂は人形へと移され、今度はその人形たちが街で大暴れを始める。笑いながら包丁を振り回し、拳銃を撃ち、さらには車で人を轢こうとするなど戦慄の展開に……。

 一方のダイレンジャーは、物語序盤ということもあり、まだ“戦隊”としてのまとまりに欠ける状態であった。そんな中、最年長のシシレンジャー・大五だけが事件の解決に奔走する。

 続く第4話では、大五の鉄拳と叱責をきっかけに、他のメンバーもダイレンジャーとしての自覚に目覚め、恐るべき鍵道化師に立ち向かっていく。この3話、4話は、抜群のホラー描写と、戦隊としての成長物語が見事なシリーズ序盤の名エピソードだった。

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