■重力下でMSの単独浮遊を実現した夢のシステム
ホワイトベースなど、ペガサス級の強襲揚陸艦で実用化された大気圏内での浮遊システムを「ミノフスキー・クラフト」と呼ぶ。それ自体が巨大なシステムのため、一年戦争時は大型艦艇や巨大モビルアーマーなどに搭載するのが精一杯だった。
それをダウンサイジングした「ミノフスキー・フライト」というユニットが、当時の最新鋭モビルスーツに搭載された。これにより人型のモビルスーツで重力下での浮遊能力を初めて備えたのが、劇場版『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』に登場した「Ξ(クスィー)ガンダム」と「ペーネロペー」だ。
初代ガンダムを第1世代モビルスーツとすると、両機は第5世代にあたり、劇中で20年以上の年月を経て、ついにモビルスーツ単独での重力下での空中浮遊を実現したことになる。
しかし、小型化されたとはいえΞガンダムやペーネロペーの機体サイズは30mほどもある。初代ガンダムに近い15m級のモビルスーツにミノフスキー・フライトが搭載されたのは、ヴィクトリーガンダムの時代である。この世代になると、さらに発展した「ミノフスキー・ドライブ」という新技術が生まれ、V2ガンダムに採用されている。
宇宙世紀のガンダムシリーズには、続く歴史の中で技術の着実な進歩が描かれているのも興味深い。技術の発展が革新的なテクノロジーを生み、それが採用された機体の活躍を観るのも、ガンダム作品ならではの楽しみ方だ。