『リボルバー・リリー』での銃撃アクションに『奥様は、取り扱い注意』回し蹴りも…綾瀬はるかが魅せた「抜群のアクション演技」の画像
綾瀬はるか  写真/ふたまん+編集部

 現在、NHKの土曜ドラマ『ひとりでしにたい』で主演を務める綾瀬はるかさん。原作はカレー沢薫さんによるギャグ漫画で、39歳独身の主人公が終活に取り組む姿が描かれている。両親の介護や老後や孤独死など重たいテーマを扱う一方、綾瀬さんのコミカルな演技や、リアルに胸に響くセリフなども見どころで話題を呼んでいる。

 明るく親しみやすい雰囲気で、コメディや恋愛ドラマなど幅広いジャンルで存在感を発揮してきた綾瀬さんだが、近年、特に注目されているのが、持ち前の身体能力と徹底した役作りによつ“本格アクション”である。

 今回は、そんな綾瀬さんのアクション女優としての真価が光る3作品を紹介する。美しい衣装にも注目しながら、その唯一無二の魅力を振り返っていこう。

 

※本記事には各作品の内容を含みます

 

■ドレス姿で挑む銃撃アクション!『リボルバー・リリー』

 まず紹介するのは、長浦京さんの小説を原作に、2023年に公開されたスパイアクション大作『リボルバー・リリー』。綾瀬さんが演じたのは「最も排除すべき日本人」と恐れられた元諜報員・小曾根百合だ。

 タイトル通り、百合は回転式拳銃「リボルバー」の達人である。舞台は大正時代、レトロな街並みを背景に、赤や黒、さらにはシャンパンゴールドと、当時の流行である“フラッパーガール”風のドレスに身を包み、苛烈なガンアクションで次々と敵をなぎ倒していく。

 中でも圧巻だったのが、百合の花の刺繍が施された真っ白な特注ドレスで挑む終盤のクライマックス。二丁拳銃を構え、数十人の陸軍兵たちとの銃撃戦に臨む姿は鮮烈であり、戦いの中で鮮血に染まっていくドレスは、百合というキャラクターの覚悟と美しさを象徴する名場面だ。

 しかしこの華やかな衣装の裏には、相応の苦労もあったようだ。通常のアクションシーンではパンツスタイルや腕を覆う衣装が多く採用されるが、今回は肩や腕が大きく露出したドレス姿。演じる綾瀬さんは肘当てすら使えず、擦り傷が絶えなかったという。

 スタイリッシュなビジュアルと、身体を張った本格アクションこそが『リボルバー・リリー』の魅力であり、綾瀬さんのアクション女優としての真価を示す代表作と言えるだろう。

■最強の奥様が帰ってきた!『奥様は、取り扱い注意』

 2017年に放送されたドラマ『奥様は、取り扱い注意』は、金城一紀さんが原案・脚本を手がけたアクション・エンターテインメントだ。

 本作で綾瀬さんが演じたのは、元特殊工作員の専業主婦・伊佐山菜美だ。2021年にはドラマ版のその後を描いた劇場版が公開され、舞台もアクションもスケールアップし、“最強の奥様”が再びスクリーンに帰ってきた。

 映画序盤では、記憶を失った菜美が平穏な生活を送る姿が描かれる。ボーダーシャツにロングスカート、ゆったりとしたワンピースといった柔らかな装いに身を包み、自転車で買い物に出かけたり、キッチンに立ったりする綾瀬さんの姿は、まさに“理想の奥様”そのもの。

 しかし物語が進み、記憶を取り戻した菜美は一変。髪を後ろに束ね、全身黒のレザージャケット&レザーパンツという戦闘服に身を包み、夫の危機に駆けつける。

 公安のエリートで、菜美を監視するために夫となった伊佐山勇輝を演じたのは西島秀俊さん。綾瀬さんとはNHK大河ドラマ『八重の桜』(2013年)で兄妹役として共演して以来の仲であり、互いを「お兄ちゃん」「はる坊」と呼び合うほど信頼を築いているという。

 2人は本作でもほとんどのアクションをスタントに頼らず自ら演じきっており、息の合った戦闘シーンは圧巻。スピード感と緊張感にあふれ、まさに“最強夫婦”の名にふさわしい迫力だった。

 とりわけ印象的だったのが、夫婦喧嘩さながらの口論の末にお互いに銃を向け合うシーンだ。次の瞬間、無言のまま完璧な連携で敵を次々となぎ倒していくその姿は痛快で、夫婦の複雑な関係性と抜群のコンビネーションが、一つのアクションに凝縮された名場面であった。

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