■開発者まで微妙な扱いをした悲しいガンダム
次に紹介するのはテレビアニメ『機動戦士Zガンダム』で、主人公のカミーユ・ビダンが最初に搭乗したMS「ガンダムMk-II」だ。
第1話「黒いガンダム」から登場し、ティターンズの機体だったガンダムMk-IIをカミーユが奪って乗り込んだことで物語は動き出す。
そもそもガンダムMk-IIは、ジオンの残党の掃討を掲げるティターンズが自組織の正統性を知らしめる目的で、前大戦で伝説となったガンダムの名を利用すべく開発されたという経緯がある。
そのためガンダムMk-IIは地球連邦軍(ティターンズ)による独自開発であり、ガンダム開発計画でGPシリーズなどの高性能機を多数開発したアナハイム・エレクトロニクス社は携わっていない。
そのガンダムMk-IIには、「ムーバブル・フレーム」や「全天周囲モニター」といった当時最新鋭の技術を採用。しかし、肝心の装甲材はコストの掛かるガンダリウム合金ではなく、チタン合金セラミック複合材が用いられている。強度の足りない装甲材のためか、本来想定していた性能を発揮できないという側面もあったようだ。
実際にガンダムMk-IIの開発を担当したカミーユの父、フランクリン・ビダン技術大尉はMk-IIのことを「あんなモノ」呼ばわりしていたことからも、思い通りの機体にならなかったことがうかがえる。
また、エゥーゴのクワトロ・バジーナ(シャア・アズナブル)も「Mk-IIは所詮Mk-IIだというのか」と発言していた。
カミーユが乗ったことで序盤の主人公機となったガンダムMk-IIだが、けっして悪い機体ではない。クワトロがMk-IIの加速性能を褒める場面もあったし、実際『機動戦士ガンダムZZ』の時代まで息長く活躍している。
ただ、かつてアムロが乗るRXー78ガンダムと何度も戦ってきたクワトロからすると、ガンダムMk-IIに革新的な性能を感じられなかったことへの落胆はあったのかもしれない。
■逆に主人公の凄さを見せつけた機体?
最後に紹介するのは劇場版『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』でアムロ・レイが搭乗した「リ・ガズィ」だ。
同機の名は「リファイン・ガンダム・ゼータ」の略称であり、グリプス戦役時の名機「Zガンダム」をコストダウンのために簡略化した機体である。
Zガンダムの最大の特徴ともいえる複雑な変形機構の大半をオミットし、かわりに外付けのオプション「バック・ウェポン・システム(BWS)」を装備することで、一応の変形を再現した。
そのリ・ガズィに乗ったアムロは、ギュネイ・ガスのヤクト・ドーガをあと一歩のところまで追い詰めるが、最新鋭のサザビーに乗ったシャアからは「そんなものでは」と明らかに見下されている。
実際、リ・ガズィであれだけ戦えたのはアムロの超人的な技量があってのことで、次に搭乗したロンド・ベルのケーラ・スゥは、ギュネイのヤクト・ドーガにあっさり敗れていた。
映画のストーリー上、大本命のνガンダムの前座的な役割を担ったことで、冴えないMSという見え方になってしまったが、リ・ガズィの系譜は『機動戦士ガンダムUC』に登場したリゼルなどにしっかり受け継がれている。
主人公機でありながら、どこか「物足りない」部分が描写されていた機体たちを紹介してきた。だが作中での描写はともかく、視聴者目線で見るならば、完全無欠の最強機よりも多少物足りない部分があるくらいの機体のほうに魅力を感じる人もいるのではないだろうか。


