■もっとも謎に包まれた上弦の壱・黒死牟

 残る一人は上弦の壱・黒死牟だ。初登場は『刀鍛冶の里編』1話。上弦の陸の妓夫太郎と堕姫兄妹が倒され、上弦の鬼たちの113年もの無敗の記録が破られたことで、上弦の鬼5人は無限城の中に召集される。

 黒死牟の初登場は後ろ姿で描かれており、その後もなかなか顔は見えないが、アニメでは赤みがかった髪色で、どこか炭治郎のようでもある。

 無惨の指摘にも特に反発する様子もなく静かなキャラかと思いきや、ようやく振り向いて見せた顔には目が6つあるというグロテスクなビジュアル。ただ者ではなさそうなオーラを放っており、アニメ放送時点では最も謎多き存在の上弦である。

 さて、この無限城の招集シーンでは上弦たちが揃った姿が初めて見られるが、これが短いながらも彼らの関係性が見え隠れする重要シーンでもあった。

 童磨が猗窩座にからむと、猗窩座は拳で彼の顔の下半分を砕く。猗窩座は童磨とは性格が合わないようだ。童磨は相変わらず飄々としているが、その後、猗窩座が童磨の顔の上半分を吹き飛ばすと、黒死牟が猗窩座の腕を落とし、無駄に起きた争いに「従属関係にヒビが入ることを憂いている」と静かに語る。

 そんな黒死牟の「猗窩座 お前は度がすぎる」と叱責する圧に対して、猗窩座は本気でビビった様子を見せる。しかし彼は黒死牟を倒すという宣言もしており、各々ギスギスしていて関係性は決してよくなさそうでもある。

 そうした様子も鑑みると、無惨からのそれぞれへの扱いもなんだか異なっているように見える。たとえば童磨は黒死牟と猗窩座に疎まれているようだが、無惨も童磨の提案を一蹴していることから、彼のことを扱いづらいと思っていそうだ。

 これから映画でさまざまな魅力や意外な人間性が見えてきそうな上弦の鬼たち。映画の前には必ず現時点の彼らをおさらいするのがいいだろう。

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