■各部ラスボスと戦うとどうなりそう?

 では、各部のラスボスとの対決において、重ちーが勝つ可能性はどれほどあるのか。以下では「お互いの能力を把握している前提」「1対1の状況」「重ちーが覚醒している状態」を条件に、何人かのラスボスとのマッチアップを検討していきたい。

 まずは第3部「スターダストクルセイダース」のラスボス、DIO。「ザ・ワールド」による時間停止能力を持つ吸血鬼であり、シリーズ屈指のチートキャラである。しかし、DIOの弱点は明確で、ザ・ワールドの射程距離が10メートル以内であること、そして日光に弱いという性質だ。ここに重ちーの戦術が噛み合うのではないだろうか。ハーヴェストの射程距離と索敵力を活かし、太陽が昇るまで逃げ回る。吸血鬼に毒やアルコールは効かない可能性が高そうだが、太陽光は確実な死をもたらす。長期戦に持ち込めば、勝利の可能性は十分にあるはずだ。

 続いては第5部「黄金の風」のラスボス、ディアボロ。「キング・クリムゾン」の時飛ばしと「エピタフ」の未来予知という、強力なコンボを誇る能力者だ。しかし、彼にも致命的な弱点がある。まず時飛ばしは持続時間が短く、射程距離も限定的。ハーヴェストで遠隔から波状攻撃を仕掛ければ、いずれは破綻する運命にあるだろう。

 第6部「ストーンオーシャン」のラスボス、プッチ神父も強敵だ。時を無限に加速させる「メイド・イン・ヘブン」は異次元のスピードを持つが、それが逆に隙を生む。例えば毒ガスの充満する空間に誘い込むなど、スピードが仇になる戦術が取れるはずだ。狂気と覚悟を持った状態の重ちーなら、神父と渡り合えた可能性も否定できない。

 ハーヴェストは、「防御面は強くない」「火力の強いスタンドに本体を狙われたら防げない」という指摘も聞かれる通り、近距離高火力型スタンドとは相性が悪く、第5部に登場するナランチャ・ギルガの「エアロスミス」などに撃ち落とされるリスクはある。だが、圧倒的な数の力や射程距離を誇り索敵能力も高いことを踏まえると、逃げ・隠れ・誘導戦術においては一級品であることは間違いない。

 総じて言えるのは、重ちーのハーヴェストは「対スタンド性能」が極めて高く、情報戦・奇襲・暗殺・持久戦と、あらゆる局面に対応できる柔軟性を持っているということだ。しかもその能力は、相手に知られても強さが損なわれない。これは多くのスタンド使いにとって脅威でしかない。ハーヴェストの性能は「わかっていても止められない」種類の力なのである。

 

 重ちーの死は、ただのモブキャラが倒された事件ではなかった。両親思いの未熟な少年が、正義の心に目覚めた矢先に無残な最期を迎えるという悲劇でもある。だが、だからこそ、重ちーの物語は“もしも”を考える余地があり、私たちの胸を打つのではないだろうか。

 あなたなら、重ちーに勝てるスタンドを思いつけるだろうか。その問いが、スタンドバトルの無限の可能性を教えてくれるのである。

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