■超人気機体と、ほぼ同じ名前を持つガンダム

 テレビアニメ『機動戦士ガンダムSEED』の物語後半の主人公機「フリーダムガンダム」は、屈指の人気機体だ。「機動戦士ガンダムSEEDシリーズグランプリ2024」で行われたファン投票の「MS・MA部門」でフリーダムガンダムは1位を獲得している。

 しかし、フリーダムガンダムとほぼ同じ名前を持つ「ガンダムフリーダム」という機体があることをご存知だろうか。

 『ガンダムSEED』の放映開始は2002年だが、それより早い1996年に『コミックボンボン増刊号』(講談社)にて連載された『機動武闘外伝ガンダムファイト7th』(著:おとといきたろう氏)に登場した機体だ。

 同作は『機動武闘伝Gガンダム』の外伝作品で、ガンダムフリーダムはネオアメリカの機体。ガンダムファイトの第2回大会で、ガンダムフリーダムは優勝をおさめている。第7回大会にも同名のガンダムフリーダムが出場したが、機体自体は2回大会優勝時のものとは異なるようだ。

 なお、ガンダムフリーダムは強烈なナックルと拳銃型の武装を持ち、必殺技も拳にまつわるものばかり。いうまでもなく強力なビーム砲による大火力を誇る『ガンダムSEED』のフリーダムガンダムとはまったくの別モノである。

 ちなみに、日本とアメリカで共同制作された『ガンダム』シリーズのテレビドラマ『GーSAVIOUR(ジーセイバー)』にも、宇宙世紀190年ごろに開発された地球連邦軍の旧式MSとして「フリーダム」という機体が登場する。

 ほとんどの人はガンダムの「フリーダム」といえば『ガンダムSEED』のフリーダムガンダムを連想するだろうが、たまにはほかのフリーダムがいたことも思い出してあげたい。

■まったく同じ名称なのに形式番号が違う?

 『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』のモビルスーツ・バリエーション「CCAーMSV」には「サイコ・ドーガ」という機体が存在する。同機は映画にも登場したα・アジールのプロトタイプであり、ニュータイプ専用のMAだ。

 その形式番号は「NZ-222」で、「NZー333」のα・アジールのプロトタイプだと分かるようになっている。

 しかし、小説『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』(角川書店)にも、まったく同名の「サイコ・ドーガ」が登場する。こちらのサイコ・ドーガの形式番号は「MSN-03-2」で、パイロットはギュネイ・ガスならぬ「グラーブ・ガス」。つまり映画『逆襲のシャア』でギュネイが乗っていたヤクト・ドーガに相当する機体なのだ。

 同じ名称ながら機体自体はまったく異なる。そのため小説内では「サイコ・ドーガ」の名称だったが、最近ではCCAーMSVの「サイコ・ドーガ」と区別するためか「サイコ・ギラ・ドーガ」と表記する文献も多いようだ。


 ガンダムの長い歴史が続くかぎり、よく似た名称の機体は今後も増え続けていくことだろう。今回紹介しきれなかった中には「FAZZ」と「FA-ZZ」のような例もあるが、ガンダム好きの皆さんが思わず混同しそうになる機体といえば、何を思い浮かべるだろうか。

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