■人間は化学発展のための貴重な実験動物「大暗黒星雲アフリカ」

 最後は「ゴーストホッパー」という、謎の生命体に鉄郎たちが実験動物にされる話を紹介したい。

 「大暗黒星雲アフリカ」のエピソードにて「キリマンジャロ」という駅に到着した999号。そこは三重になった太陽が照らす雪に覆われた星だった。そこで鉄郎やメーテル、車掌はゴーストホッパーという紙のように平べったい生命体に拉致されてしまう。

 ゴーストホッパーは「オマエタチハ貴重ナ実験動物ダ」と言い、3人の体を切断しようとしていた。その目的は、惑星キリマンジャロの偉大な科学の発展のためだという。

 このエピソードは人間にとって恐ろしい話だが、こうした過程は私たち人間が動物たちにおこなっていることといわば同じだろう。

 最終的に鉄郎たちはゴーストホッパーの女王によって助けられる。女王はほかの生命体を実験材料とする醜いゴーストホッパーたちに嫌気がさし、一人で反乱を起こして999号を救出したのだ。

 女王はその後、一人で宇宙をさまよい、なぜ皆が醜い心を持ったゴーストホッパーになってしまったのかを静かに考えるという。この女王の行動は、私たち人間社会の在り方にも疑問を呈しているようだ。

 

 人間を虐げる星の数々。そのような星には決して行きたくはないが、彼らのおこなっている行動は私たち人間にも通ずるものがあるように感じる。人間だって動物や虫たちを虐げる一面があることを踏まえると、これらのエピソードは決して他人事ではないのだ。

 『銀河鉄道999』のエピソードを通して、私たちが学ぶことは多いだろう。

  1. 1
  2. 2
  3. 3