
『ガンダム』シリーズのテレビアニメ最新作『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』の最終話には、なんと「ゾック」が描かれる場面があった。
『ジークアクス』のメカデザインを担当した山下いくと氏は、自身のSNSであの機体は水中用ではなく「宇宙用のリックゾック」「裏表どちらの右手にも武器を把持できる背中わせの二人乗り」とまさかの設定を語り、話題を呼んでいる。
そこで今回は、初代『機動戦士ガンダム』に登場して以来、謎の人気を博しているジオンの愛されMS「ゾック」について振り返ってみたい。
※本記事には各作品の内容を含みます。
■初代『ガンダム』でのゾックはどんな活躍を見せたのか
ゾックは、アニメ『機動戦士ガンダム』に登場した水陸両用MSの1体。どことなくユーモラスなフォルムをした機体で、登場順的には「ゴッグ」「ズゴック」「アッガイ」と続き、大トリに登場した。
劇中では、このゾックについて「ザクの数倍のジャンプ力を持つ」と技師が発言。それゆえに機動力のありそうな機体かと思いきや、実際は大出力ジェネレーターと9門のメガ粒子砲を備えたことで機体は肥大化。書籍『総解説ガンダム辞典Ver1.5』(講談社)では、ゾックは「実質的に局地戦用移動メガ粒子砲座」「脚部は砲を支える台座程度の意味しか持たず、水中以外での運動性は心もとない」などと評された。
劇中で新型のゾックを見たシャア・アズナブルは、「見掛け倒しでなけりゃいいがな」とあまり期待していないような発言をしており、一目で上記のような問題点を見抜いたのかもしれない。
ボラスキニフ曹長の乗るゾックは、シャアとともにジャブロー基地に侵入。機体を損傷したシャアの離脱を援護したものの、アムロのガンダムには自慢のメガ粒子砲をすべて避けられてしまう。逆に固定砲台と化していた巨体をビーム・ライフルで撃ち抜かれ、あえなく撃破された。
■なぜか数々のガンダム作品に登場する愛され機体
シャアの言葉通り、本当に「見掛け倒し」に終わってしまったゾック。テレビアニメでの扱いはイマイチだったが、劇場版『機動戦士ガンダムII 哀・戦士編』にもしっかり登場している。
しかし、こちらではガンダムと戦闘することもなく出番は大幅に削減。あろうことか地球連邦軍の「61式戦車」と相打ちしたようにも見える、悲しい末路が描写された。
とはいえ『ガンダム』の劇場版では出番そのものがカットされた機体も多いため、登場しただけゾックはマシだったのだろうか。
初代『ガンダム』の劇中ではそのような扱いだったゾックだが、なぜか最新作『ジークアクス』の最終話に登場。ジャンク屋の「カネバン有限公司」の宇宙用運搬船内に置かれていた。
ゾックが有する大出力ジェネレーターを運搬船の動力源がわりにしていたのか、ジェジーにパワー不足を嘆かれ、「クソ安い中古はダメだな」と酷評される始末。それを聞いたケーンは「もともと水中用なんだからさー」とフォローしていた。
カネバンが所有するゾックの表面にはスポンサーのものらしきステッカーが貼られており、もしかするとクランバトルの出場まで想定されていたのかもしれない。